五葉山・石楠花荘の改築事業、年内の完成を目指す/自然保護協が計画決定

▲ 本年度計画を承認、決定した総会=釜石市

現段階での完成イメージ図

 五葉山自然保護協議会(会長・野田武則釜石市長)の平成30年度総会は24日、釜石情報交流センターで開かれた。本年度の計画に加え、同協議会が管理し、五葉山山頂部近くに構える山小屋・石楠花(しゃくなげ)荘の改築について審議し、原案通り決定。7月以降に着工し、年内完成を目指す。現施設の基礎を生かして新しい小屋を整備するもので、登山者の安全確保充実などを図る。

 

本格着工は7月以降

 

 協議会は大船渡、住田、釜石の3市町で構成。総会には野田市長や戸田公明大船渡市長、紺野勝利住田町農政課長に加え、オブザーバーの菅野敏裕三陸中部森林管理署長ら10人余りが出席した。
 あいさつで野田市長は、これまでに五葉山石楠花荘改修促進協議会が募金活動で集めた寄付300万円、3800人を超える署名簿、要望書を受けたと報告。さらに五葉山自然保護管理員や同協議会などと協議の場を重ねてきたと説明したうえで「今回もきたんのない意見をいただき、整備を進めていきたい」と述べた。
 非公開で行われた議事では▽29年度事業報告、収支決算報告▽30年度事業計画、収支予算▽石楠花荘の改築の3項目を審議。いずれも原案通り承認、決定した。
 総会終了後に行われた事務局(釜石市商業観光課)の説明によると、石楠花荘は29年度に行った実施設計をもとに改築工事を行う。現在の石楠花荘は昭和63年に整備。基礎のコンクリートブロックはそのまま使用しても問題がない半面、土台と外周の柱材は中が空洞状態。地震や強風による「横の力」がかかると、引き抜きなどが起きる可能性があるとされてきた。
 事業費負担は「大船渡市:釜石市:住田町=5:5:2」で、予算額は7220万円。両市が約3000万円、住田町が約1200万円を負担する。
 現在は県立自然公園事業の変更手続きや国有林内作業許可土地貸借手続きなどを進めている。今後のスケジュール見込みによると、6月ごろに入札・発注を行い、工事施工は7月以降。年内の完成を目指すとしている。
 総会では、現段階での完成イメージ(別図)も示された。現施設の基礎となっているコンクリートブロックはそのまま生かし、上部に木造の新しい小屋を建設する。外観の色については、今後さらに検討を進めるとしている。
 敷地面積は約150平方㍍で、現施設の基礎を活用することからほぼ同じ広さとなる。現施設は外壁の外側に避難小屋へとつながる階段が設置されているが、新施設は外壁の中に設ける構造。雨風の影響を防ぐといった目的があるという。
 内部の避難小屋も小上がりがある構造で、現施設の空間を継承する形となる。一部で小上がりから天井まで立った状態でも移動できるようにし、利便性を高める。
 施工時は、ヘリコプターでの資材搬入を計画。整備時期は、シャクナゲが見ごろを迎える時期と重なることも想定されるという。協議会ではさらに、石楠花荘近隣にあるトイレの改修についても検討を進めることにしている。