高田小新校舎が着工、来年8月から供用開始へ/陸前高田(別写真あり)
平成30年4月25日付 1面
陸前高田市立高田小学校の新築工事安全祈願祭は24日、高田地区高台⑤(高寿園北側)の現地で行われた。東日本大震災による被災や区画整理事業の関係で同市に新しく校舎が整備されるのは、高田高、高田東中、気仙小に続く4校目。気仙両市合わせてもこれが最後の整備となる。現・高田小では市役所新庁舎建設のための盛土工事が並行して行われており、児童は不便を余儀なくされていることから、祈願祭に出席した関係者は一日も早い新校舎完成を願った。工期は来年6月までで、夏休み明けの開校を目指す。
区画整理で高台移転、跡地に市役所新庁舎整備
同校は平成23年の大津波で校舎1階まで浸水。その後は校舎を清掃・修理し、同じ場所で学校生活を送っている。現校舎は被災市街地復興土地区画整理事業区域内にあり、同事業の道路建設予定地の支障物件であることから、国からの移転補償を受けて高台部へ移されることになった。
新たな小学校は、元の位置からおよそ500㍍北側、海岸部からは直線距離で約1・5㌔離れた場所に建設。県立高田病院や、建設中の市保健福祉総合センターに隣接し、南側に高田松原を望む。
施工は㈱佐武建設、設計・監理は㈱久慈設計が担う。校舎は鉄筋コンクリート造の地上3階建てで、延べ床面積は約6286平方㍍。このほかに鉄筋コンクリート造地上2階建ての体育館と、木造の多目的棟、屋外運動場などを整備する。
内装は極力「木質化」する計画で、スギをはじめとした気仙産材も使用。1階昇降口から続く大階段など、開放的で温もりある空間に仕上げる。
プール棟は鉄骨造りとし、屋根をかける。これは、春から夏にかけて「やませ」による濃霧が発生した際や雨天時にも、授業に支障が出ないようにするための工夫だという。
この日行われた安全祈願祭には、発注者の市や学校関係者ら約50人が出席。神事では玉ぐし奉てんや鍬入れなどを行い、工事の安全を祈った。
神事後、戸羽太市長は「復興は誰のためのものかといえば、子どもたちのため。子どもたちが夢を持ち、明るい未来を描けるような環境を整えることがわれわれの役目だと思っている」とあいさつ。
また、同校児童が現在の校舎を利用する中、新庁舎建設のための造成工事がグラウンド側から始まっている点にも触れ、「復興事業は過密なスケジュールで行われている。児童らのためにも、工期の中でしっかりと、安全に工事を進めていただきたい」と述べた。
続いて佐武建設の須賀芳也代表取締役は「母校となる学び舎であり、心を込めて建設し市民へお渡ししたい。子どもたちにとって大切なものであるということを忘れず、安全に建設する」と述べ、野々村常孝現場代理人は「関係者との連携を密に行い、後戻りのないよう工程を管理していきたい。高田病院へ来院される方や近隣にお住まいの方の安全を確保し、極力ご迷惑とならないよう、配慮を万全にする」と決意表明を行った。
工期は31年6月14日まで。各種検査と引っ越し、開校準備を経て、8月の2学期からの使用開始が予定されている。