持続可能なまちの実現を、市議会の3常任委員会が当局へ提言書提出/大船渡

▲ 市議会が常任委の所管事務調査を踏まえた提言書を提出=大船渡市役所

 大船渡市議会は27日、市当局に対して提言書を提出した。議会内に設置する3常任委員会が行ってきた所管事務調査に基づき、今後の持続可能なまちづくりを進めるうえで必要な提言事項を取りまとめたもの。議会側は目指すまちの実現に向け、提言内容を政策に反映させるよう求めた。
 市議会では、復興の先を見据えた地域経済の活性化、市民福祉の増進を図り、人口減少や少子高齢化に対応した魅力ある持続可能なまちづくりを進めることが肝要として、総務(今野善信委員長)教育福祉(滝田松男委員長)産業建設(千葉盛委員長)の各常任委で所管事務調査を実施。それぞれのテーマに基づいて関係する市民と意見を交換し、視察なども行った。
 これら活動内容から課題や講じるべき対策などを検討し、市議会としての提言書にまとめた。常任委の所管事務調査を受けての提言書提出は、今回が初めて。
 提出には、市議会から熊谷昭浩議長、紀室若男副議長、各常任委の委員長と副委員長が出席。市当局では、戸田公明市長や関係部局の職員らが対応した。
 熊谷議長は市長に提言書を手渡し、「各常任委が行ってきた1年以上に及ぶ所管事務調査をもとに提言をするもの。持続可能なまちづくりの実現に向け、対応をお願いしたい」とあいさつした。
 続いて、各常任委員長が提言事項を説明。市長は「震災からの復興はまだ残るが、今後は地方創生の取り組みをより強化していかなくてはならない時期に差し掛かっている。貴重な提言を受け止め、できる限り反映させたい」と述べた。
 提言書では、総務が「人口減少への対応」として、▽大船渡にしごとをつくり、安心して働けるようにすること▽大船渡への新しい人の流れをつくること▽大船渡で安心して家庭を築き、子どもを産み育てられるようにすること▽大船渡で生涯暮らし続けられる地域をつくること──を掲げた。具体的には、地元企業へのテレワーク事業の拡大や空き家施策の充実、国際交流への対応などを提言した。
 教育福祉は「福祉分野の諸課題」として、▽孤独死防止対策の取り組みの強化▽介護人材の確保にかかる支援策──を提案。このうち、孤独死防止対策では、見守り協定締結先との連携強化や、戸別訪問を行う民間事業者との連絡体制構築を挙げた。介護人材の確保では、若年世代の介護に対するイメージアップを図ることなどを記載した。
 「産業の振興」とした産業建設の提言事項は、▽国際リニアコライダーの誘致促進▽労働力や後継人材の確保▽外国クルーズ船の誘致▽企業誘致▽漁業振興策──の5点。このうち、国際リニアコライダーの誘致では実現に向けた官民の連携協力体制強化を、漁業振興策では漁家の経営安定に向けた所得向上につながる施策の実施などに言及している。