春の叙勲/郷土への貢献に光、気仙からは地方自治功労で2氏が受章

 政府は平成30年春の叙勲受章者を29日付で発表した。受章者は全国で4154人、県内は79人。気仙からは、地方自治功労で元住田町議会議長の荒木久一氏(79)=世田米=と元大船渡市議会副議長の鎌田和昭氏(71)=赤崎町=がそれぞれ旭日双光章を受ける。

 

 

旭日双光章・荒木久一さん(地方自治功労)

民間感覚生かして議員生活20年

 

 5期20年にわたり住田町議会議員として、町政振興に尽力。この間、合併するか否かの判断に迫られる局面もあった。「自立を選択したことで、町民のまちづくりへの意欲を引き出し、希望を持って生きることができている」と、力を込める。
 世田米出身で、高田高校卒。30年以上にわたり、㈱アマタケなど民間企業に勤務し、平成7年9月の町議選で初当選。16~19年には副議長、19~23年には議長をそれぞれ務めた。
 町内のみならず、県や国関係者とのパイプづくりに注力。「営業の感覚でやってきた部分もある。人とのつながりを築くことが大事だから」と、民間感覚を生かした議員人生を振り返る。
 住田町は、県内の町の中では最も人口が少ない「小さな町」。少ない独自税収でも、財政負担が小さい補助事業を活用するなどして、健全財政を維持してきた。
 今も合併を選択せず、自立の道を進むべきとの思いを強くする。「自立を維持していくためには、林業と畜産を柱とし、さらに木材加工業などを発展させることが重要」と語る。
 自身勇退後に行われた3年前の町議選は、町政史上初の無投票となった。「議員の数を少なくしてもいいから、報酬を上げるべき。県や国にもしっかりと、政策やまちづくりを提言できる人が活躍できる場を」と、活動しやすい環境整備を望む。
 町顧問を務め、現在も町内外の各種催事、会合にも精力的に参加。一方で「政治ざんまいで、家のことは何もやってこなかった」と、心身を支える妻・勇子さん(75)らへの感謝も忘れない。
 来月の皇居拝謁には、夫婦での出席を予定している。

 

 旭日双光章・鎌田和昭さん(地方自治功労)
地域・観光振興への思い熱く

 

 赤崎町出身。高校中退後に家業である養殖業を継ぎ、昭和61年に株式会社を立ち上げた。現在は水産会社・鎌田水産㈱の会長。
 「行政がどういうものなのか勉強しよう」との思いで議員を目指し、平成8年の市議選に初当選。以降、計4回の当選を重ね、3期目には副議長に就任した。
 議員時代は、大船渡市と旧三陸町の合併や産業振興に力を入れて取り組み、人口減少対策の必要性も訴えてきた。
 20歳から58歳まで消防団にも所属し、団長も務めた。さまざまな人と関わってきた15年間の議員時代を「有意義な議員生活だった」と振り返る。
 これからの市政に対しては「建前論ではなく、本音でまちづくりについて語り合う必要がある」と指摘。「観光用の看板設置や、地域ごとにやっているイベントに行政も絡んで、市全体として盛り上げていくべき」と、地域・観光振興への思いを強く持つ。
 企業人して国内外を飛び回る中、「行った先では自分たちのまちとの違いも見てきている」と日々まちづくりに考えをめぐらせており、「若い人たちも、いろいろな所に観光を兼ねた研修に行くことが大事」と語る。
 受章に関しては「年相応の老人になるか、年を度外視した〝若者〟になるか、残された人生をどう歩んでいくかの一つの区切りだと思う」としながら「これまでいろんな人に協力してもらいながらやってきた。その分、これからは私が協力していきたい。それが残りの人生」と力を込める。
 拝謁には、妻・イツ子さん(65)とともに出席する予定。