三味線と尺八の音色に心込め、津市の小島夫妻が演奏/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ 住民を前に演奏を披露する牧水さん(右から2人目)と尚山さん(同3人目)=高田町

 三重県津市の小島牧水さん(本名・誠伺、68)・尚山さん(同・玉子、64)夫妻が大型連休に合わせ、陸前高田市内の災害公営住宅や老人ホームなどを訪れ、津軽三味線と尺八で民謡を演奏している。東日本大震災が起きた平成23年から継続して足を運び、今年で8年目。心を込めた演奏で元気を届け、「陸前高田で生まれたご縁を大事に、これからも応援し続けたい」と意欲をみせる。

 

訪問活動8年目、きょうアバッセでも披露

 

 今年は29日から5日(土・祝)までに13カ所をまわる予定。同市の民謡愛好者有志でつくる民謡研究会がコーディネートした。
 2日午前中は、高田町の災害公営住宅「中田団地」集会所で、住民10人余りを前に演奏。同研究会のメンバー3人も出演し、津軽三味線と尺八の音色に合わせて唄を響かせるなど花を添えた。
 出演陣の脇には、大きな模造紙に歌詞を書き写した小島夫妻自作の歌詞カードを置き、牧水さんは「下手なりに一生懸命演奏する。皆さんも一緒にうたいましょう」と呼びかけ、『ソーラン節』や『外山節』などを次々と演奏。今回の訪問に向けて昨年から練習してきたという岩手民謡の『気仙坂』『南部俵積唄』も初めて披露した。
 同団地に住む岡田サキ子さん(78)は「三重から毎年わざわざ来てもらい、ありがたい限り。素晴らしい演奏と歌声で心が癒やされました」と感謝していた。
 小島さん夫妻はともに元小学校教諭で、尚山さんは18歳から尺八を習い始め、現在は都山流の大師範の資格を持つベテラン奏者。牧水さんは「夫婦で合奏したい」と15年ほど前から津軽三味線を勉強し、尚山さんとともに三重県内の小学校や集会施設など各地で演奏している。
 震災後、津市であった講演会で講師を務めた陸前高田市民の復興にかける思いに心打たれ、現地への訪問を決意。平成23年12月に同市を訪れ、以来、毎年キャンピングカーで寝泊まりしながら市内各地を訪ねてきた。
 牧水さんは「遠い地にいるが、陸前高田を決して忘れていないという思いを伝えたい。来る度に逆に元気をもらっており、被災地での人との出会いやつながりは私たちの生きる力となっている」と語る。
 尚山さんは「演奏を聴きに来られた地元の住民同士のつながりが生まれるきっかけにもなれば」と期待を込める。
 3日は午前10時30分から高田町のアバッセたかたで演奏する。6日以降は宮城県仙台市や福島県川俣町なども訪れる予定で、牧水さんは「震災発生から7年以上経過しても、まだ復興の道半ば。被災地の現状を三重の方々に伝えたい」と話している。