新緑くぐり山頂へ、氷上山の山開き登山/陸前高田(別写真あり)

▲ 登山道の途中の花々や山から見える風景も魅力=氷上山

200人が参加


 陸前高田市第2の高峰・氷上山(874㍍)の山開き式は、13日に行われた。シーズン中の無事故を願う安全祈願祭が高田町の氷上神社で開かれたほか、登山会には約200人が参加。もえ出した木々の緑と赤いツツジが彩る登山道から山頂を目指し、9合目付近の祈祷ヶ原では豚汁のふるまいに笑顔を広げた。
 氷上山はその高さから「ハナシ(話)にのぼる氷上山」といわれ、漁業者も海上の安全を祈願するなど、古くから信仰を集めてきた。頂上付近の三方には神様をまつる御殿がある。太平洋を一望できるうえ、初冬の晴れた日には岩手山まで望めるといい、四季折々の花々などを愛でながら気軽にハイキングを楽しめるとして地元住民の人気も高い。
 昨年は悪天候で山開き登山が中止に。今年は快晴でこそなかったものの、雨もなく、暑からず寒からずの〝登山日和〟となったことから、「すずらん」「中央」「玉山」の各登山道には多くの人が行き交った。中でも中央登山道は、途中から市街地や高田松原などが見晴らせる人気のコースで、登山者たちは見ごろを迎えたツツジのトンネルをくぐり、その眺望に歓声を上げた。
 平地が広がる9合目付近の祈祷ヶ原では、市職員と市観光物産協会スタッフらによる恒例の豚汁提供があり、訪れた人たちは汗がひいて冷えた体をおわんいっぱいの汁で温めた。
 同日はヤマセの影響かふもとの霧が濃かったが、9合目や山頂からは新緑を〝フレーム〟とした美しい雲海を眺めることができた。
 氷上山には毎年登っているという米崎町の熊谷康博さん(70)は、「自然豊かで、花も楽しめるし、岩場も草原もある。金華山まで見えるほど眺めがよくて、御殿もある。登れば知り合いにたくさん会えて〝話っこ〟もできる。多彩な魅力がある楽しい山」とにっこり。 
 米崎小3年の金野莉央さん、新沼莉奈さん、金野慧太君、菅野佳樹君は、「疲れたけどいろいろきれいなものが見られた」「岩に上ったのが楽しかった」「(登山道途中にあった)2本の木のうちの1本が雷に打たれたみたいで、穴が開いていた」「クマのすみかみたいなところを見つけた」とそれぞれの発見とともに山登りを楽しんだ様子だった。
 山頂あたりのツツジはまだツボミで、これから見ごろに。観光物産協会は登山者に火の始末やごみの持ち帰りを促し、美しい山の景観を守るよう呼び掛けるほか、鈴やラジオを携帯するなどのクマよけに対する注意喚起もしている。