県の天然記念物「三面椿」回復と保護へ、樹勢の衰え受け/大船渡(別写真あり)

▲ 石川県から樹木医の松枝氏(右から2人目)が来市し、三面椿を診断=末崎町

 大船渡市末崎町にあり、日本最古のヤブツバキとして知られる岩手県指定の天然記念物「大船渡の三面椿」。樹勢の衰えが指摘される中、石川県の樹木医・松枝章氏(76)が14、15の両日、診断を行った。松枝氏は地元関係者からも話を聞きながら、三面椿や周辺環境の状況を確認。新芽の状況などから「あと20年ぐらいは心配はいらない」と判断したうえで、台風で主幹が折れた西側部分の日よけなど、三面椿の早期回復、保護に向けて早急にとるべき対策も助言した。

 

樹木医・松枝氏(石川県)が診断

 

 三面椿は同町字中森に鎮座する熊野神社(志田隆人宮司)の境内、社殿の東側にそびえる。樹高は約10㍍、株元の幹周りは約8㍍。
 神社が創建された宝治2年(1248)、本殿の東西南3面に植栽された樹齢数百年のツバキ3本のうち、唯一残ったものと伝わる。樹齢1400年は日本最古といわれ、昭和44年に県が天然記念物に指定した。
 長年にわたり、人々の営みを見守り続けているが、平成14年に発生した台風21号で西側の主幹2本が根元から折れ、樹形のほぼ半分を損失。これをきっかけに、三面椿の樹勢に少しずつ衰えがみられるようになった。
 26年には市教育委員会が外部に委託し、樹勢診断を実施。木材腐朽菌が枯れ枝や傷口から侵入して腐れが起きる「材質腐朽病」の症状が確認され、28年には樹勢回復策がとられていた。
 しかし、今シーズンは葉の数が少なく、つぼみから十分咲ききらないまま地面へ落下する花も目立った。こうした中で、日本ツバキ協会大船渡支部や志田宮司(50)が代表を務める三面椿の会などの関係機関から、三面椿の回復、保護に向けた対策の必要性が指摘されていた。
 市教育委員会では、三面椿の現状把握や今後の対策には、専門家による早期診断が必要と判断。関係機関の協力を受け、同協会本部を通じて松枝氏を紹介された。
 松枝氏は、石川県白山市の愛樹技術士研究所長。樹木医のほか、森林部門の技術士や森林インストラクターなどの資格を持ち、日本樹木医会や同協会などに所属。つばき油の生産が盛んな東京都利島村のツバキ診断を23年続け、東京都利島椿研究会の顧問も務めている。
 三面椿の診断は、市教委生涯学習課の職員や同協会大船渡支部、三面椿の会のメンバーらが立ち会いのもと、2日間実施した。松枝氏は台風被害を受けた折損部分や枝葉の現状、新芽の出具合など、周辺環境の状況とともに丁寧に調査。立ち会った関係者らからこれまで行ってきた対策、日ごろの様子なども聞き取った。
 松枝氏は「新芽の状態からみて、20年ぐらいは心配いらないだろう」と、当面は枯死などの可能性は低いと判断。一方で、西日が直接当たる折損部分への日よけ対策、三面椿の裏手に競合するように植生するベニカナメのせん定については、できるだけ早期に対応するようアドバイスした。
 また、三面椿の根元などから出た〝ひこばえ〟は後継樹でもあることから、経過を見守り、必要であれば成長しやすい場所に移植するなどの適切な対策を図るよう助言。立ち会った関係者らも質問をしたり、アドバイスをメモに取るなどしながら、三面椿の早期回復や保護活動に生かしていこうと誓いを新たにしていた。
 松枝氏は「根元の関係でまだ元気ではない感じだが、徐々に回復すると思う。新芽の出方も良さそうに見える。機会があればまた見に訪れたいが、何よりも日ごろから三面椿を観察して、変調に気付く方々の存在が大切。今後も見守り続けてもらい、処置方法の相談などには応じていきたい」と話していた。
 市教委では今後、松枝氏による診断の内容や今後に向けたアドバイスなどを取りまとめる計画。まとめた内容を松枝氏に確認してもらい、関係機関と連携しながら早期回復や保護に向けた対策に役立てていくとしている。