伝統の提灯風景〝休止〟、準備の人手不足など理由に/住田町夏まつり

▲ 商店街での「七夕飾り」を今年は見送る方針(写真は昨年の様子)=世田米

今年は7月28日に開催予定

 

 住田町夏まつり実行委員会(会長・泉田静夫町観光協会長)の準備委員会は18日、町生活改善センターで開かれ、7月28日(土)に開催する町夏まつりの会場を世田米の農林会館前付近とする方針を固めた。これまで半世紀近く世田米商店街で開催し、約600㍍の道路両側に竹で提灯七夕を飾っていたが、人手不足の深刻化などを受けて今年は〝休止〟する。協議では再考を求める発言も出たが、事務局では「少子高齢化に合わせ、まつり自体を継続していくために、見直しをしていきたい」としている。

 

商店街から農林会館前に変更へ


 準備委員会は観光協会や町婦協、町商工会、世田米商店会、町農政課の各関係者で構成。関係者約10人が出席し、泉田会長が「人口減少社会に対応した新しいまつりを」とあいさつした。
 引き続き、今年の開催場所について協議。事務局は、これまでの商店街沿いではなく、農林会館前や町保健福祉センター、生活改善センター前とする案を示した。
 夏まつりは半世紀近い歴史があり、昨年までは世田米商店街を歩行者天国とし、町民による道中踊りや保育園児のみこし行列、中学生らのよさこい演舞などを披露。さらに、江戸時代の風情や古き良きたたずまいが連なる道路沿いには、建物を超える高さの竹に提灯をつるした七夕飾りを並べ、涼と彩りを演出してきた。
 今回の開催場所変更は、昨年行った実行委員会での総括を受けての対応と説明。協賛金が減少傾向にあることや、商店会やまつり関係者の高齢化などを受け、提灯七夕設置の人手不足が深刻化している現状を挙げた。
 提灯七夕の設置は町内での約70本に及ぶ竹切りから始まり、道路両側に1本ずつ手作業で取り付ける。役場職員や地域おこし協力隊、ボランティア大学生を頼ってきたが、厳しさが増していたという。事務局側では「継続的に開催していくために、抜本的な見直しをしなければいけない」と理解を求めた。
 出席者の一人は「『住田の夏まつり』という風景ができ、町外の人からも『いい風景だね』と声をかけられる。1年だけ待って、人を探してみるのはどうか」と再考を要請。「協賛金集めなどの時に、どういうところに共感してもらうのか」との声もあった。
 一方、商店会側からは「(会場変更は)やむを得ない。商店会の会員も今は十数人で、経済効果よりも負担の方が大きい」との認識が示された。このほかにも「伝統にはこだわりたいが、運営の力はおとろえている」「あまり負担をかけず、ゆったりと過ごせるまつりがいいのでは」との意見があった。
 結果、会場を変更し、効果を検証する方針を確認。実行委員会は6月18日(月)に開くことも決めた。
 今年は農林会館前に「もちまきやぐら」を3基設置し、その周囲を回る輪踊りでの道中踊りを計画。提灯七夕は街路灯などでの設置を検討する。さらに座って鑑賞できる場所を確保し、気仙川沿いでの花火大会や五葉山火縄銃鉄砲隊演武は例年通りとする。
 交通規制の時間制約が少なくなることから、本番前の「プレイベント」などを通じて出展時間を長くするといった工夫も図る。町外周知に力を入れ、交流人口拡大も目指すとしている。