新たなスタート飾る運動会 /2校統合後初めて・高田第一中、開放された校庭で・大船渡中(動画、別写真あり)

▲ 統合後初の運動会で力いっぱい駆ける高田第一中の生徒たち=高田町

270人が心合わせる/高田第一中

 

 気仙3市町の小中学校は19、20日、運動会シーズンのピークを迎えた。
 このうち、本年度、旧気仙中と旧第一中が統合して新設された陸前高田市の高田第一中学校(小野寺哲男校長、生徒270人)では20日、新たなスタートを飾る運動会が同校そばの仮設グラウンドで行われた。各学年が紅、青、黄組に分かれ、徒競走やリレーなど12種目を繰り広げ、青空の下、絆を深め合った。
 小野寺校長は「グラウンドなどの環境は決して恵まれたものではないが、今年も運動会が開催できたことへの感謝を忘れてはならない。諦めないで最後まで頑張り抜き、全力できょうを楽しもう」とあいさつ。
 宮城彩月生徒会長(3年)は「会場にいる全員の心に残る最高の運動会としよう」と呼びかけた。紅組キャプテンの上部竜輝君(3年)、青組同の村上慶君(同)、黄組同の鈴木佳太郎君(同)が「復興に向かっている陸前高田の地に、元気いっぱいの声を響かせる」と宣誓し、最後は3人で「心を一つに」と力強く声を合わせた。
 スローガンは「全信・全心・全進」。270人全員が楽しむ行事として「全」をキーワードに、心を合わせ、信じ合い、新設校として前に進もうという願いを込めた。
 仮設グラウンドは、同校校庭に仮設住宅があるため、被災市街地復興土地区画整理事業(高田地区)区域内に設けられた。学校から歩いて10分以上かかることから、同グラウンドでの運動会練習は限られたが、統合前から生徒間で打ち合わせするなど準備を進め、本番では結束した姿を地域に披露した。
 宮城さんとともに生徒会長を務める青組キャプテンの村上君は「生徒全員の心を通わせる運動会となったと思う。この成果を各学年、普段の学校生活に生かしていきたい」と話した。

 


供用再開への感謝を胸に/大船渡中

 

 大船渡市の大船渡中学校(佐藤謙二校長、生徒155人)では20日、8年ぶりに校庭を使用しての大運動会が行われた。大勢の保護者らが詰めかける中、生徒たちは「次の世代につなげるように」と気持ちを一つにして、全力で競技に臨んだ。

青空の下、はつらつと競技に臨む生徒たち=大船渡中


 東日本大震災後、同校校庭には応急仮設住宅138戸が整備された。部活動や屋外授業が制限され、運動会も大船渡小学校校庭を借りて「体育祭」として行われてきた。
 校庭に整備された仮設住宅は、集約化に伴って平成28年12月に撤去作業がスタート。29年8月には学校に引き渡され、供用が再開された。
 運動会は当初19日に予定されていたが、雨のため順延。20日は朝からすっきりとした青空が広がった。
 生徒たちは、「感謝~8年越しのSTART」のスローガンの下、青、黄の2組に分かれて徒競走や玉入れ、リレー、応援合戦など、計14種目に挑戦。全力で競技に汗を流す選手たちの姿に、生徒や保護者から大きな声援が送られていた。
 応援合戦では、運動会で歌い継がれてきた伝統の『黒潮賛歌』を全員で合唱。生徒たちは、再び校庭を使えるようになった感謝と喜びを胸に、歌声を大空に響かせていた。
 佐藤校長は「以前は四つだった組団の数は少なくなったが、生徒が自分たちで盛り上げようとしているのが伝わってくる。それぞれが感謝の気持ちや、校庭が使えなかった先輩たちへの思いを競技に出している」と目を細めていた。