移動式の本屋「ブックバス」限定オープン、陸前高田の3カ所巡回/6月6日
平成30年5月26日付 7面

東日本大震災で被災した陸前高田市立図書館への支援を展開する㈱バリューブックス(本社・東京都杉並区、中村大樹代表取締役)は6月6日(水)、高田町のアバッセたかたなどに移動式本屋「ブックバス」を出店する。同日は古本の販売などを行い「一冊の本との出合い」を創出するほか、アバッセに併設される形で再建された市立図書館の前で、同館支援プロジェクトについて市民らに報告する機会とする。
㈱バリューブックスが出店
バリューブックスは、インターネットを中心とした古本の買い取り・販売などを行う会社。専門書に特化した会員制買い取りサイト、マンガやゲーム、DVDなどの新しい人気商品専門サイトなどを運営すると同時に、施設や学校などに無償で本を届けるといった社会貢献事業も展開する。
同社はこうした事業のうち、「charibon(チャリボン)」という寄付プログラムを活用し、大津波で全壊した陸前高田市立図書館の再建を支援する「ゆめプロジェクト」を立ち上げ。提供された書籍の査定を同社が行い、その買取金額相当を寄付するというもので、今年4月までに4323万2290円(230万6933冊分)を同図書館に贈っている。
昨年夏に図書館が再建されたあとも、書籍購入費として支援を継続。また、同プログラムでは、同市の一般社団法人SAVE TAKATA、NPO法人桜ライン311などに対しても寄付実績がある。
こうした縁から、6月には、古本の移動販売を中心としたプロジェクト「ブックバス」が本県を初めて巡回。6月4日(月)に盛岡市本宮のNPO法人サンガ岩手、5日(火)には二戸市立図書館、6日に陸前高田市をそれぞれ訪れる。
ブックバスは、まちの書店が全国的に減少傾向にあり、自治体内に1カ所も本屋がない「書店空白地」が増えている実情を受け、同社が昨年開始したプロジェクト。バスに絵本や物語、暮らしに関連する書籍などを詰め込んだ「移動式書店」として住宅街や公園などに出店しているという。
陸前高田では現在、市立図書館の移動図書館車が運行を休止していることを踏まえ、今回3カ所へ立ち寄る。6日午前10時〜正午には、市立図書館が併設されるアバッセたかた専門店街前に、午後1時〜3時には米崎町の産直はまなすに、午後3時30分〜5時30分に高田町の栃ヶ沢アパートにバスが停車する。
また、当日は「ゆめプロジェクト」についても来場者に周知。同社の広報PR担当の原悟さんは、「本の冊数や寄付金額は、陸前高田市立図書館がダントツで多い。施設が再建された今も支援の勢いは衰えておらず、本当にすごいことだと思う。『読み終えて不要になった一冊であっても、集まれば大きな力になる』ということを、新しくできた図書館の前でご説明できれば説得力がある」と語る。
原さんは、「ほしいものはネットで買える時代だが、本との偶然の出合いを提供し、皆さんに『やっぱり本っていいな』と思ってもらえれば」といい、当日の気軽な来場を呼びかけている。