浦浜地区緑地広場、セレモニーで完成祝う/大船渡(別写真あり)

▲ ど根性ポプラの下でテープカットを行い、広場の完成を祝った=三陸町越喜来

 大船渡市三陸町越喜来の杉下地内にある「ど根性ポプラ」周辺に整備され、今月1日に供用が開始された「浦浜地区緑地広場(愛称・ど根性ポプラ広場)」で27日、オープニングセレモニーが開かれた。市の広場整備事業完成第1号となった同広場には、地域住民ら約350人が来場。テープカットや音楽公演などさまざまな催しで、憩いの場や観光資源に期待される広場の完成を祝った。

 

「ど根性ポプラ」中心に整備、地域の新たな憩いの場に

 

 樹齢約80年、高さ約25㍍と推定されるど根性ポプラは、昭和8年の三陸大津波や同35年のチリ地震津波にも耐え残ったと伝わる地域復興のシンボル。東日本大震災後には、周辺ががれきに埋め尽くされた中で1本だけ堂々と立つ姿が住民らに勇気を与えた。
 市では、災害危険地区に指定した市内26地区のうち、防災集団移転による買取地が相当規模で発生するなど、被災跡地の利用検討が必要な12地区で、土地利用方針の見直しを図ってきた。
 これに含まれていた浦浜・泊地区では、住民らとの話し合いを通して、ど根性ポプラを中心とした多目的広場の整備を決定。住民らの交流や憩いの場のほか、三陸鉄道三陸駅から三陸大王杉に至る観光ルートの一端を担うこととした。
 概算事業費は5672万円で、すべて国の復興交付金を活用。同町綾里や末崎町の細浦地区などでも計画が進む、被災跡地を利用した市の広場整備事業の完成第1号となった。

神保さんのワンマンライブを楽しむ住民ら=同

 セレモニーは、広場の指定管理者となった浦浜・泊地区連絡協議会(熊谷朋也会長)が主催。熊谷会長のあいさつのあと、戸田公明市長と鈴木健悦越喜来地区震災復興委員長が祝辞を述べ、地域住民らによる整備への協力などに謝意を示すとともに、末永く親しまれる広場となることを期待した。
 続いて、関係者によるテープカットや、浦浜、泊両地区の住民らによる浦浜権現舞、記念植樹、餅まきがにぎやかに行われたほか、世界トップクラスのドラム奏者として知られる神保彰さんによるワンマンライブも開かれた。
 平成21年から毎年大船渡でのライブを開き、プロミュージシャンや全国のファンが大船渡を訪れるきっかけをつくり続けてきた神保さんは、ドラムと電子打楽器を組み合わせ、リズムや旋律を一人でたたき奏でる「ワンマンオーケストラ」で、映画音楽やクラシック、アイドルの有名曲などを披露。来場者を魅了した。
 この日は、朝からすっきりとした青空に。来場者らは、真新しい広場でイベントを楽しみながら、春の一日を満喫していた。越喜来小4年の佐藤渚子さんは「広くて遊ぶのが楽しそう。友達と鬼ごっことかしてみたい」と、笑顔で話していた。
 広場の敷地面積は、約2400平方㍍。歩道やトイレ、サイン(案内板)、水飲み場、照明灯などが設けられ、ポプラの周りにはサークルベンチも置かれている。トイレは男性用と多機能兼用の女性用。あずまやは、4㍍四方の屋根を架けており、その下にはテーブルとベンチ2基を設置した。
 サインの文面は、地元の「浦浜・泊まちづくり委員会」が文面を検討。3基の照明灯はいずれも太陽光発電で電気をまかない、停電時にも対応している。測量設計業務は、栃木県の㈱景観プランニングに委託。整備工事は地元の㈲片山建設が、トイレ整備工事は同市の㈱杉山組がそれぞれ担当した。