医療福祉建築賞を受賞、福祉施設で県内初/大船渡の「百年の里」

▲ 医療福祉建築賞を受賞した「百年の里」

施設設計、運営に高評価

 

 大船渡市の社会福祉法人・成仁会(山崎シゲ会長)が運営する立根町の特別養護老人ホーム・成仁ハウス「百年の里」が、一般社団法人日本医療福祉建築協会(中山茂樹会長)主催の「医療福祉建築賞2017」を受賞した。本県の福祉施設が同賞を受賞したのは今回が初。施設設計や運営体制などが総合的に高く評価されたもので、職員らがいっそうのサービス向上を誓っている。

 同賞は、国内の優れた医療福祉建築を顕彰し、関係施設の質向上を図ろうと平成3年に創設。竣工後1年以上経過した医療福祉施設を対象に優良作品(建築)を募り、デザインや利用者の快適性、スタッフの使い勝手のよさなど各方面で最も優秀と認められた作品に授与される。

東京都での表彰式に臨んだ山崎会長(前列右から3人目)ら関係者

 29年度(2017)の応募総数は29作品(病院15作品、診療所5作品、保健・福祉施設など9作品)。各地の建設、大学関係者7人でつくる選考委員会の現地視察、討論、投票などの結果、百年の里を含む5作品が同賞に選ばれた。
 百年の里は、㈱内藤将俊建築設計事務所と㈱佐藤総合計画が設計監理、㈱匠建設が施工し、27年3月に竣工。鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積5742平方㍍のユニット型で、定員102人(うちショートステイ21人)のキャパシティーを持つ。
 卍型の特徴的な建物内部は、廊下スペースを極力削減し、生活空間の拡大を実現。共用スペースは間仕切り壁を減らし、木の勾配天井や配色を複雑に組み合わせて開放的な空間を創出。天井を見上げて生活する利用者らが自分の居場所を認知することにもつなげている。
 また、運営面では「すべては愛から始まる」の法人理念のもと、職員が〝利用者目線〟に立ったサービスを徹底。利用者の過去や実情から個性を把握し、パソコンを活用した健康管理システムなども導入しながら、利用者それぞれが「自分の家で暮らしている」ような空間づくりを目指している。
 今回、ハード、ソフト両面で随所にみられるこれらの工夫が高い評価を得て、同賞を受賞。東京都内でこのほど表彰式が行われ、成仁会の山崎会長、山崎和彦理事長ら関係者が出席した。
 山崎理事長は、宮城県仙台市で社会福祉法人・杜の里福祉会の理事長も務めており、平成21年には同法人が運営する特別養護老人ホーム「一重の里」も同賞を受賞。百年の里は、「人生のラストステージこそ生きがいを」と願い続けてきた山崎会長の思いがもっとも反映された施設という。
 山崎会長は「職員のみなさんがよくがんばってくれているおかげで、すばらしい賞をいただけた。これからも人の尊厳を大切に、利用者の生きがいづくりに努めたい」と話していた。