市の発展・復興に寄与、商工会館が落成/陸前高田(別写真あり)

▲ 新商工会館落成を記念し関係者がテープカット=高田町

相談業務により注力


 東日本大震災で被災し、新しい中心市街地に移転新築が進められていた陸前高田商工会館の落成式は3日、陸前高田市高田町の現地で行われた。新施設では会員事業所からの相談に対し、より細やかに対応できるようになり、市勢発展の中心を担う商工業の本格復興の加速が期待される。
 震災前の商工会館は同町砂畑地内にあり、平成23年3月の東日本大震災津波で全壊。事務局職員12人中1人が犠牲となった。同市では震災によって全体の約86%にあたる640以上の事業所が被災したことから、市の商工業の早期再生を目指し、同月には鳴石地内にテント張りの仮設事務所を開設。24年から同地内のプレハブ施設で、取引先を失った事業者や、二重ローンに苦しむ被災経営者らの相談などにあたってきた。
 新商工会館は鉄筋造平屋建てで、総工費は約1億6200万円。敷地面積は約940平方㍍、延床面積は545平方㍍となっている。
 館内には約40平方㍍の会議室、80平方㍍の研修室のほか、事務室、打ち合わせや事業者からの経営相談に乗れる相談室が2室、ついたてで仕切られた相談スペース2室が設けられた。テナントには、同市建設業協会と生命保険会社が入る。
 落成式には県と大船渡市、住田町の商工会関係者、陸前高田市、同商工会役員らおよそ40人が出席。同商工会の伊東孝会長は「ノーマライゼーションに配慮した設計で、より集まりやすく、利用しやすい施設となった。伴奏型の経営支援にあたり、会員ニーズに応えられるよう、個別相談にも力を注ぐ」と式辞し、「『住みたいまち、暮らしたいまち、うらやましい〝高田スタイル〟』の実現を目指す」と決意表明した。
 来賓の戸羽太市長は祝辞で「ようやくまちの形が見えてきたが、まだまだ空き地だらけ。活気あるまちづくりのためには、中心市街地がさらに魅力あるものになっていくことが大事。そのためにも、商工会館の再建は商業に弾みをつけるものになるだろう」と期待を寄せた。
 また、佐々木茂光県議は「三陸縦貫自動車道や、高田松原津波復興祈念公園もやがて完成する。このまちの経済を立て直し、ほかの地域からも人を呼び込むための取り組みも進めていかねばならない。歩みを止めず、皆で一致団結しよう」と、市街地の拠点となる施設の誕生を祝った。