音楽仲間が結婚式贈る、金ケ崎の佐藤さん夫妻へ フリークスで挙行/大船渡(別写真あり)
平成30年6月5日付 7面

住田町で開かれる夏の音楽イベント「ケセンロックフェスティバル」(以下、KRF)のファンらが3日、大船渡市大船渡町のライブハウス「KESENROCK FREAKS」(以下、フリークス)で、ファン仲間の佐藤正則さん(41)、美幸さん(44)夫妻(金ケ崎町)に結婚式をプレゼントした。式を挙げていない2人のために企画されたサプライズ挙式。佐藤夫妻はKRFが生んだ出会いに感謝し、感動の一日を心に留めた。
KRFでの出会いを縁に
KRFは、東日本大震災発災以前から続けられているイベント。毎年、全国からファンが詰めかけ盛況を呈している。
佐藤さん夫妻は、平成23年5月に入籍。事故で半身の自由を失った正則さんが、当時障害者施設で働いていた美幸さんと出会ったという。
ライブ好きな美幸さんは3年前、車いす生活であまり外出しない夫に「元気が出るように」とKRFに誘い、初めて夫妻で参加。KRF実行委など関係者とも仲良くなり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で2人の様子が公開された。
このSNSの投稿に感銘を受けたのが、今回の結婚式の発起人で、KRFファンの一人、浦谷徳子さん(40)=栃木県宇都宮市。音楽仲間のネットワークから佐藤夫妻と友人になり、仲間の輪も広がった。
挙式のきっかけは、昨年のKRF。正則さんの「結婚式を挙げられていない」との言葉から、浦谷さんら仲間10人余りが「大好きな2人に自分たちができることを」と、水面下で準備を進めてきた。
KRF実行委の役員で、フリークスの千葉裕昭代表(48)も賛同し協力。正則さんの意向で、美幸さんには式のことを〝秘密〟にして、この日を迎えた。
「音楽仲間との大船渡観光」という名目で来大した美幸さんは、フリークス隣の大船渡プラザホテルで真っ白なウエディングドレスに着替えて会場入り。家族や浦谷さんら音楽仲間、そしてスーツ姿の正則さんに迎えられ、驚きとうれしさに涙を流しながら入場した。
結婚式は人前式スタイルで、浦谷さんらが前日から仕込んだバルーンの飾りや、千葉代表による照明の演出など、華やかに彩られた会場で挙行。誓いの言葉、指輪の交換、誓約書の記入などに加え、音楽仲間たちによるエールに励まされながら、夫妻は永遠の愛を誓った。
親友たちからのプレゼントに、始終涙の美幸さん。「いい友達に出会えて本当に幸せ。大好きな場所で、大切な思い出ができた」と笑顔を広げた。
正則さんも「KRFでできたこの縁への感謝は、とても言葉では言い表せない。いつも励ましてくれる美幸さんと一緒に、これからも楽しい生活を送りたい」と語った。
式後は披露宴も開催。浦谷さんは「結婚8年目おめでとう。私たちと出会ってくれてありがとう」と、夫妻の明るい未来を願っていた。