吉浜海水浴場 8年ぶりの海開きへ、 シャワー施設の整備も進む/大船渡
平成30年6月7日付 1面


海水浴場開設に合わせてシャワー施設も整備=同
大船渡市は今夏、三陸町吉浜の吉浜海岸に震災後初めて海水浴場を開設する。現在、開設に合わせて同海岸の防潮堤山手側でシャワー施設の復旧工事が進められており、今後、海中のがれき撤去などにも着手していく。今年は同海岸と三陸町越喜来の浪板海岸の市内2カ所が〝海開き〟となる予定で、市では近く開設日を公表することとしている。
震災前の平成22年は約1万人、震災前3カ年平均では約7000人が訪れ、シーズン中は多くの海水浴客でにぎわった吉浜海岸だが、震災の津波でTP(東京湾平均海面)+7・15㍍の防潮堤は全壊。砂浜も大部分が流出し、防潮堤後背地に広がっていた農地も浸水した。
県では平成24年度に災害復旧工事を開始し、29年度中に工事が完了。復旧した防潮堤は旧防潮堤よりも30㍍陸側に建設されており、地域住民の声も反映して被災前と同じTP+7・15㍍で整備。堤防長は被災前の570㍍から595㍍に延長された。
砂浜は自然再生が図られており、現在は長さ約200~300㍍ほどに回復している。
同海岸では昨年に海水浴場の開設が計画されていたが、海中にコンクリートや鉄板などのがれきが多数あり、海水浴客の安全性が確保できないとして、市では海開きを見送っていた。
砂浜のがれきは29年度中に防潮堤施工業者らにより撤去され、29年11月~30年2月にかけて海中がれき詳細調査を実施。
ダイバーによる調査をもとに、今年はがれきの散在状況を考慮して遊泳エリアを砂浜側100㍍、沖側約50㍍に設定して海水浴場を開設することとしており、今後、エリア内の金属片撤去、砂浜の流木や落ち葉類の撤去、水質検査、地元住民による海岸清掃などを行っていく。撤去不能ながれきについては、海上にブイを設置して所在箇所を示し、注意を促すこととしている。
木造平屋建てのシャワー施設は今年3月に着工。海開きまでの完成を目指して工事が進む。震災前よりもやや北側に建設中で、施設面積は73・87平方㍍。被災前は県が整備したトイレと旧三陸町が整備したシャワー室が別々にあったが、今回は一体的に整備し、シャワー室は男女各四つ、男女別と多機能のトイレも設けられる。総工費は現時点で1億98万円。
シャワー施設の清掃や海水浴場の監視業務などは市観光物産協会に委託することとしている。8年ぶりの海開きを控え、市観光推進室では「久しぶりの開設なので、市内外問わず多くの皆さんにご利用していただければ」としている。