大船渡市長選/競争選見据え 長い前哨戦へ、告示まで半年切る
平成30年6月8日付 1面
12月2日(日)の任期満了に伴う大船渡市長選は、11月18日(日)の告示まで残り半年を切った。現在、表明順に新人で元参議院議員の藤原良信氏(66)=日頃市町・無所属=と、2期目の現職・戸田公明氏(69)=猪川町・同=の2人が立候補を予定しており、競争選挙となるのは確実な情勢。それぞれの後援会では組織の再構築などを進めており、今後、体制が整った段階で前哨戦が活発化するものとみられる。
新人と現職が出馬予定
今回の市長選は、昭和27年の市制施行から数えると通算19回目、三陸町との合併後は5回目、東日本大震災の発生後は2回目。11月18日告示、同25日(日)投票の日程で行われる。
今市長選をめぐっては、2月中旬に藤原氏が「今までの国、県との関係を生かし、地域発展を図っていきたい」と立候補を表明。5月中旬には戸田氏が「復興の総仕上げと、持続可能なまちづくりを進めたい」と3選出馬の意思を正式に示した。
藤原氏は衆議院議員秘書を経て、昭和62年の県議選から連続5期当選し、平成15~17年には議長に就任。19年の参院選に民主党公認で比例区に出馬し、初当選。25年に生活の党から再選を目指したが落選した。
戸田氏は、18年の市長選に大手建設会社を辞して立候補したが、当時現職との一騎打ちで敗戦。再挑戦した22年の市長選では新人3人による争いを制して初当選し、26年の前回選では新人候補を破って再選した。
選挙日程も決まっていない2月の段階から新人が起意表明し、異例の早さで動き出した市長選。現在のところ、この2人のほかに起意表明や候補者擁立への表だった動きはみられておらず、両氏の後援会では長い前哨戦を見据え、組織の再構築や支持拡大に向けた動きを強めている。
藤原氏後援会(宮澤信平会長)では2月の出馬表明後、地区ごとに後援会組織の再構築を進めている。合わせて、市内事業所にも浸透も図るなどの動きもみせる。
一方、戸田氏後援会(水野公正会長)でも組織の再構築を図る。現職としての2期7年余りにわたる実績をもとに、市内各地で支持拡大への足場を固めている。
政党の動きでは、国民民主が戸田氏の推薦を決定。自民、公明、共産は現時点で支持の動向を明らかにはしていない。
震災から7年が経過し、住まいの再建は最終段階を迎えている。市内各地に整備された応急仮設住宅では、ピーク時の23年11月には1792戸、4531人が生活を送っていたが、今年4月末現在では74戸、137人にまで減った。
有権者数は、大船渡町などの被災した沿岸部では減少が目立ち、公民館を解散した地域もある。一方、内陸部の猪川町、立根町などでは、高台への移転や災害公営住宅への入居が進み増加傾向にある。
新たなコミュニティーの創出が図られる地域も多い中、今選挙では、高台の宅地や大規模な災害公営住宅に暮らす有権者への浸透をいかに図れるかが、最大の特色といえる。どちらの後援会も、こうした新たなコミュニティーへの対応はまだ手探りの状態にある。
早期復興もさることながら、少子高齢化や人口減少の影響を受けて各地区が抱える課題が多様化する中にあって、〝復興後の大船渡〟の方向性も示さなければならない時期にきている。
人口減少、少子高齢化への具体策、復興需要収束後の地域経済と産業の振興、市民所得の向上と維持、内陸部へのアクセス道路整備の充実など、取り組まねばならない問題が山積する。
港湾の利活用など、実現すれば市内の産業や医療、学術など各方面への波及が期待される、国際リニアコライダー(ILC)の北上山地への誘致促進にも目を向け、青写真を描く必要がある。
今回は、選挙権年齢が18歳に引き下げられて初めての市長選となる。
6月1日現在の有権者数は、3万2068人(男1万5270人、女1万6798人)。前回選投票時(20歳以上)と比べて350人少ない。