三木は4年ぶり黒字、ランバーは純損失計上/ 住田
平成30年6月8日付 1面
木工団地2事業体決算
住田町世田米の木工加工団地内に構える三陸木材高次加工協同組合(三木、菊池良一理事長)と、協同組合さんりくランバー(ランバー、上田昭雄代表理事)は6日、それぞれ通常総会を開き、平成29年度決算を承認した。両事業体は26年から3年連続で損失金計上が続いたが、三木は2187万円の純利益を出し、4年ぶりの黒字決算。ランバーは390万円の純損失で、前年よりも赤字額は減少したが利益確保には至らなかった。
三木は主に、防腐加工などを施した構造用集成材を製造。承認された決算資料によると、29年度の売上高実績は14億4963万円と、前年度比1億800万円余り増加。前年度は1801万円の純損失を計上したが、29年度は2187万円の純利益を出した。
純利益計上は4年ぶり。けせんプレカット事業協同組合の泉田十太郎専務らから指導を受け、27年度から生産性向上や経費削減、歩留まりの改善を実践してきた。昨年6~10月は月額売上高が目標の1億2000万円を突破するなど生産・受注が好調に推移していたが、11月以降は受注減少があったという。
前期繰越損失金は8億719万円。純利益が出たことで、次期繰越損失金は7億8532万円に圧縮された。本年度の売上計画は15億円で、利益は3000万円を見込む。
ランバーは、丸太を集成材用ひき板(ラミナ)に製材、乾燥加工している。29年度の売上高実績は3億1344万円で、前年度比約5000万円の増。純損失金は390万円で、前年度比約2700万円減少した。
ランバーも泉田専務らの指導を受け、工場が隣接する三木やプレカットに良質なラミナの提供を進めてきた。上半期は順調に推移していたが、今年2月に設備補修のため数週間操業できない状態が続いたことなどが響き、4年ぶりの黒字決算には至らなかった。
次期繰越損失金は4億4928万円。本年度の売上計画は3億6600万円で、利益計画は1708万円としている。
両組合は、19年に経営危機が判明。町から合計約7億9000万円の公金融資を受けて再建を進め、26年度から年度当たり約3100万円を町へ償還する計画だった。しかし、27年度内の償還は222万円、28年度は450万円にとどまった。
町は昨年、両事業体や連帯保証人に対し、立木未収金を含めた計10億円超の支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てた。今年1月から調停が始まったが、和解には至っていない。
町によると、昨年度における両事業体からの償還は500万円。7、8月にそれぞれ50万円、9~12月に100万円ずつが入り、調停開始以降はないという。
経営状況に関し、神田謙一町長は「改善に向かっているとみている。プレカット、三木、ランバーがさらに連携をとることで経費を節減し、木工団地を形成するメリットを出してほしい」と期待を込める。調停に関しては「粛々と進めている」としている。
調停申し立てが町議会臨時会で議決されたのは、昨年7月。間もなく1年を迎える一方、住民レベルでは進展が見えにくい状況が続く。12日(火)開会の町議会6月定例会一般質問では複数議員が調停の動きを取り上げる予定で、論戦の行方が注目される。