貝毒の影響など尋ねる、産業施策で論戦/陸前高田市議会一般質問

▲ 3日間にわたる一般質問がスタート=陸前高田市

 陸前高田市議会6月定例会は12日、通告に基づく一般質問が行われ、鵜浦昌也(創生会)、伊勢純(日本共産党)、及川修一(新風)、菅野定(同)の4議員が登壇した。貝毒検出による漁業被害の状況や今後の見通し、仮設店舗の利用期限が今秋に迫っていることを受けた事業者への対応などについて、複数の議員が質問した。
 貝毒発生による影響を含めた漁業者へのサポートや水産業振興に関しては、伊勢議員と及川議員が質問。このうち伊勢議員は、現在の被害状況を確認したうえで、「貝毒検査の費用は基本的に自己負担となっており、ホヤやホタテの出荷停止が長期化すれば負担も大きくなる」とし、市の支援体制を尋ねた。 
 千葉徳次農林水産部長は、「最終的に水揚げ高が減った場合に、特定養殖共済において減収分が補てんされることになるため、現時点での実被害額の把握は難しい」と答弁。検査費用の負担については、「現在までにも、生食用カキの一般細菌やノロウイルス検査費用の補助などを行っているところだが、貝毒検査の費用負担についても広田湾漁協と前向きに検討していきたい」とした。
 また、利用期限が今年9月いっぱいまでとなっている市内の仮設店舗・施設に関する事業者の意向把握などについても、両議員が質問。利用期限後の施設払い下げを希望するか、撤去を希望するかといった意向調査のため、市が昨年行ったアンケートによると、現在の入居者のうち払い下げ希望は73施設103事業所、撤去希望は12施設62事業所。「未定」と回答した事業所も49施設119事業者にのぼったという。
 これを踏まえ村上知幸商工観光課長は、「現状では、利用期限を過ぎても本設再建に至らない事業者がいることは認識している。未定と回答した人も多かったことから、アンケート方式ではなく、個別に聞き取りを行い丁寧に対応していきたい」とし、独立行政法人中小企業基盤整備機構などに対してもさらなる利用期限延長を求めていく考えを示した。
 また、及川議員は中心市街地において空き地となることが想定される土地の利活用についても質問した。戸羽太市長は「市、UR都市機構、陸前高田商工会を構成団体とし、『(仮称)陸前高田市土地利活用促進会議』を立ち上げるとともに、『空き地バンク』制度の創設などを検討している」と答弁。空き地バンクは、土地情報を正確に把握したうえで情報発信を図り、地権者と土地を利用したい人のマッチングを図る制度だと説明した。
 鵜浦議員は、市が苗木育成などのほか観光事業への寄与も期待する「ピーカンナッツ推進事業費」に関して質問。戸羽市長はピーカンナッツ栽培等について「課題も多いが、農作物としての可能性がいろいろある。20日には栽培先進地であるアリゾナの関係者も来市し、事業推進について助言をいただくことになっている。観光と農業、どちらの観点も大事にし、市民が希望を持てるものにしたい」と述べた。
 菅野議員は子育て世代の負担軽減にかかり、奨学金制度などについて質問。「利用者ニーズと制度との間にミスマッチがあるのでは」と指摘した。金賢治教育長は、現状の市の奨学金制度では支給が6月からになること、実際に保護者が資金を必要とする時期は3~4月であることを踏まえ、「進学先が未定の段階から申し込みができるようにするなど、制度の見直しを図りたい」と答弁した。
 さらに同議員は、震災後に同市と縁が生まれた愛知県名古屋市や、米国クレセントシティ市との交流にかかり、「花火大会や祭りの時などにその模様を中継し、先方でパブリックビューイングをしてもらうといったイベントを行う考えはないか」と質問。これに対し戸羽市長は、「あちらの協力も必要になるので相談しなければならないが、相互に情報提供し、共有し合うことは大切だと思っている」と前向きな姿勢を示した。