ウナギ 順調に育って、漁協が2年ぶり放流/気仙川
平成30年6月19日付 7面
気仙川漁協(小山公喜組合長)は18日、住田町と陸前高田市を流れる気仙川で稚ウナギの放流を行った。近年、全国的に不漁や種苗不足が続く影響で稚魚価格も高騰しているが、厳しい財政下でも後世につなげる活動をしていこうと2年ぶりに実施。関係者は、種を絶やさないよう資源量拡大と成長に期待を込めた。
「種を絶やさず」に願い込め
今回放流を行ったのは世田米と横田町内の各1カ所。高知県南国市から届いた各5㌔を、川に放した。稚ウナギは川底の石の間に潜ろうとするなど、元気な姿をみせ、関係者を安堵させた。
作業を終えた高橋弘紀事務局長(64)は「ウナギは漁自体をしている人が少なく、情報はあまり多くないが、近年減っていることは確かだろう。順調に育ってくれれば」と語りながら見つめ、期待を込めた。
古くから気仙川産のウナギは、炭火で焼いても身が縮みにくいとされ、高品質で知られる。東日本大震災以降も、組合員が80㌢を超える大物を捕らえたこともある。
資源保護への要望は多い一方、ウナギは近年、全国的に稚魚の価格高騰が続く。稚魚自体の数も少なく、漁協では昨年度は放流計画分の稚ウナギ確保ができなかった。今年も放流は難しいと思われたが、なんとか購入に至った。
「アユの宝庫」と呼ばれ、解禁を迎える7月には多くの太公望でにぎわう気仙川。このほかにもイワナやヤマメ、ウナギ、シラウオ、モクズガニなどの生息でも知られる。組合員らからは、各魚種に対して資源量確保の要望があり、漁協では厳しい財政をやりくりしながら稚魚放流を続けてきた。
気仙川にかかわる関係機関や住民の地道な取り組みにより、最近はきれいな水を好むカジカが増えているとの声が漁協に寄せられるという。高橋事務局長は「人々のさまざまな思いに応えられる、気仙川を守っていきたい」とも語る。
漁協では今後も、経費節減に加え、収支バランスがとれた放流を行う方針。天然魚を増やす川づくりも進めることにしている。