高卒求人すでに300人台、事業所と高校の情報交換会/大船渡で
平成30年6月21日付 7面

「金の卵」地元定着目指し
気仙地区内で新規高卒予定者の求人を提出した事業所と、高校や支援学校の職業指導担当者との情報交換会が20日、大船渡市盛町のリアスホールで開かれた。東日本大震災以降、気仙の高卒求人倍率は高水準で推移。来春の新規高卒予定者の求人受け付けは今月1日から始まっており、大船渡公共職業安定所(三上元詔所長)への申し込みはすでに300人台に達した。対する地元就職希望者は50人台で、まさに「金の卵」の状況。学校側は生徒のふるさと就職、事業所側は貴重な新戦力確保に向け、それぞれ熱心に情報を集めた。
雇開協と職安主催
気仙の新規高卒者の有効求人倍率は、生徒数の減少や復興需要の高まりを受け、23年度(24年3月卒業者)から2倍を超え、29年度(30年3月卒業者)は4・12倍を記録している。
こうした中での情報交換会は、気仙地区雇用開発協会と大船渡職安が主催。県内ほかの職安に先駆けての開催となった。
この日は、求人手続きを済ませた気仙3市町などの36事業所が臨んだ。
学校側は大船渡(全日制、定時制)、大船渡東、高田、住田の各高校と気仙光陵支援学校に加え、気仙出身の生徒がいるという内陸部の1校から、進路指導担当教諭らが参加した。
開会行事で大船渡職安の三上所長は、同職安の新規高卒求人受け付けが今月19日現在で97件303人となり、昨年1年間の284人をすでに超えたと紹介。「一人でも多くの若者が気仙で就職できるよう、相互理解を深めていただきたい」と呼びかけた。
引き続き、各校の担当者が来年3月卒業予定者の求職動向を報告。各校合わせた卒業予定者は517人で、現段階ではこのうち118人が就職を希望し、うち気仙地区内での就業希望は57人となっていることなどについて伝えた。
これまでは学校側が企業ブースを訪問する形で実施してきたが、今回は双方が相互に訪問し、より細かに情報を交わせるように改めた。参加者たちは採用情報の詳細や生徒側の希望などについて、熱心に情報を交わし合っていた。
事業所の担当者たちは「将来を考え、担い手を育成していきたい」「ここ何年かは〝取り合い〟の状況が続いており、厳しさもある」などと口々に話し、働きやすさもアピールするなどしていた。
気仙地区でも近年は、おおむね「進学7割、就職3割」という傾向にある。さらに生徒数の減少も顕著となっており、卒業予定者は10年前と比べて180人減っている。
三上所長は「人口減少や少子高齢化の将来予測がある程度立っている中、事業所の担い手確保への意欲は引き続き高い。大卒者、Uターン者などの受け入れや情報発信も一層求められてくるのでは」と話していた。