感染性胃腸炎の集団発生相次ぐ、本年度すでに保育所・学校8施設で/気仙で前年度累計大きく上回る

  県内で主にノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生が相次いでいる。気仙では本年度、保育所や小学校、高校合わせて8施設で発生。重症者は出ていないものの、すでに前年度の累計数を大きく上回っており、注意が必要だ。県大船渡保健所では手洗いなど、個人でできる予防対策を徹底し、まん延防止に努めるよう呼びかけている。

 

 ノロウイルスなど原因、予防対策の徹底を

 感染性胃腸炎は年間を通して発生しており、通常であれば例年12月中旬ごろにピークを迎える傾向にあるが、今年は4月から県内の多くの施設で発生が確認されている。
 県によると、県内では4月から今月20日までに34施設で感染性胃腸炎が集団発生。前年度同期を11施設、28年度同期を12施設上回っている。原因となっている病原体はほとんどがノロウイルス。
 気仙では5月以降発生が増えてきており、今月20日現在の発生施設数は前年度累計の3施設、28年度累計の2施設をすでに大幅に上回っている。
 発生施設の内訳は保育関係4施設(大船渡市1、陸前高田市3)、小学校3施設(陸前高田市3)、高校1施設(大船渡市)。同保健所の調査結果により、いずれも施設の食事を原因とする食中毒は否定されているものの、ピーク前に感染性胃腸炎の集団感染が多発している詳しい原因は分かっていない。
 厚生労働省によると、ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、人の腸管で増殖。潜伏期間は24〜48時間で、主な症状は吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、軽度の発熱。健康な人は軽症で回復するが、子どもや高齢者などは重症化したり、吐物を誤って気道に詰まらせて死亡することもある。
 感染性胃腸炎の予防法は、▽トイレ後、調理前、食事前には石けんを用いて流水で十分な手洗いを行う▽食事を調理する場合、加熱が必要な食品は85〜90度で、90秒間以上加熱する▽嘔吐物、便の処理や、環境・調理器具の消毒は次亜塩素酸ナトリウムで素早く──など。
 同保健所保健課では、「個人でできる予防対策として、石けんを使って流水で手洗いすることを心がけてほしい」としている。
 県内の感染性胃腸炎集団発生状況は別表。
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 県は20日、陸前高田市内の小学校でノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生があったと発表した。
 県によると、5月24日〜今月19日にかけて児童33人、職員1人が嘔吐(おうと)や下痢などを訴え、検査の結果、1人からノロウイルスが検出された。