「後見人制度」活用へ、今秋にも住民向け養成講座開催/住田町
平成30年6月23日付 2面
住田町は本年度、一般住民を対象とした後見人養成事業に取り組む。高齢社会が進行する中、さまざまな契約手続きに対する円滑な対応や見守りの充実を見据え、今秋に養成講座を開催する方針。修了者は新年度以降、町や福祉事業者などと連携し、成年後見制度の利用促進につながる活動が期待される。
成年後見制度は認知症や障害などによって判断能力が不十分で、自分一人では契約や財産の管理などが難しい住民を支援する制度。親族のほかに弁護士・司法書士・社会福祉士らが担っているが、高齢化の進行や制度改正などに伴い、一定の知識などを身につけた住民を養成する機運が高まっている。
同町の人口は年間100人ペースで減る半面、65歳以上人口はほぼ横ばい。これに伴い、高齢化率が上昇を続け、平成12年度には32・68%だったのが、本年度は42・87%となった。この間、1人暮らしも200世帯台から400世帯台と、ほぼ倍増した。
今後は▽通帳管理や金の出し入れが難しくなってきた▽契約行為ができない▽振り込め詐欺が心配──といった悩みを抱える住民がさらに増えると予想される。障害者に関しても、身近な困りごと相談対応や、住環境の見守り充実などが求められている。
町は、成年後見制度の相談窓口を毎月第2、第4水曜日に包括支援センターで開設。後見人は家庭裁判所に選任された弁護士や親族、市民(町民)後見人が務めるが、市民後見人の今後の積極的な活用を見据えて養成講座を開講する。
実施要項によると、研修の対象は20歳以上で、地域での実践活動を行う意思があり、後見人としての活動を希望する住民が対象。制度や対人援助の基礎などを学ぶ座学講座に加え、地域実習・レポート作成などで知識を深めていく。
研修終了者は、町民後見人候補者として登録。制度利用を希望する住民や案件に応じて、後見人に選考される流れを描く。
町では今後、制度周知を図りながら、講座受講生募集などを行う方針。町保健福祉課では「後見人の養成が盛んな自治体は、振り込め詐欺被害に狙われにくいといった効果もあるとされる。地域ぐるみで、制度を広げていきたい」としている。