身近な地域を教材に、新教科「地域創造学」の授業公開/住田(別写真あり)

▲ 公開された「地域創造学」(そうぞう)の授業=世田米小

 住田町立世田米小学校(佐々木英雄校長、児童120人)で25日、新教科「地域創造学」(そうぞう)の授業が公開された。町内の小中高校が文部科学省から研究開発学校の指定を受けており、各校では本年度から子どもたちへの実践が本格化。この日は学校関係者に加え公民館関係者らも訪れ、身近な地域を教材とした学びに理解を深めた。
 研究開発学校事業は、教育実践の中で浮かび上がる諸課題、時代に対応した新しい教育課程(カリキュラム)や指導方法を開発するため、学習指導要領等の国の基準によらない教育課程の編成・実施を認める制度。昨年度に世田米小、有住小、世田米中、有住中、県立住田高校の計5校が指定を受けた。
 本年度は実践に向け、各学校の時間割には「地域創造学」が組み込まれた。これを受け、町教育研究所では本年度から「校内研究会相互交流」をスタート。各校の授業研究会に他校教員らの参加を促し、校内研究の充実を図る狙いがある。研究会に先立ち行われる授業は、公民館関係者らにも事前周知する。
 世田米小では、3年生20人の教室で授業を公開。各校や町教委関係者に加え、町内自治公民館の館長ら約30人が見守った。
 3年生は、7月に上有住を巡る「観光名所めぐり」を行う。この日は「見てきたいことや聞きたいことを考えよう」として、めがね橋や鏡岩、民俗資料館などへの関心を高めた。
 事前に家族らから、名所の特徴や古くから知られる伝説などを聞いてきた児童たち。めがね橋では「なぜ、めがね型のアーチをつくったのか」「橋の下はどのくらい深いのか」といった発言が出たほか、鏡岩も名称の由来などへの関心を伝えた。
 自らの興味を説明するだけでなく、他の児童の注目点を褒め合う時間帯も。授業の最後には、見たいこと、聞きたいことを考えることができたかなどを自らで振り返り、郷土への関心を高めた。
 見守った世田米・川口地域自治公民館の紺野冨夫館長(67)は「家族からも教わるなどして、具体的によく調べていると感じた。大人になった時に、自分たちが学んだ内容を次の世代に伝えられるように成長してほしい」と話し、新教科への期待を込めていた。
 校内研究会相互交流は本年度、世田米、有住の両小中学校で、年3回ずつ計画。他校の研究成果を学び合いながら、地域資源を生かした住田らしい教育の確立を図る。