「学校の未来」広く議論を、総合教育会議で意見交換/住田町

▲ 今後の学校のあり方を見据えて意見交換=住田町役場

 平成30年度第1回住田町総合教育会議は28日、町役場庁議室で開かれた。本年度から5年間を期間とする第9次教育振興基本計画を策定した教育委員会は、5月に町内5地区で懇談会を開催。少子化が進む中での教育環境などについて意見交換を行っており、今会議ではその内容をもとに議論した。新たな小中学校の枠組みを視野に入れて意欲的に学習・活動できる環境を目指すだけでなく、小規模校の強みも見つめ直すなど、より広く意見を聞きながら住田にふさわしい学校のあり方を探る方向性を確認し合った。

 

少子化進行を見据え

 

 総合教育会議は首長が招集するもので、今年1月以来の開催。神田謙一町長、多田茂教育委員長、菊池宏教育長、高橋誠治、菊池恵、畠山優子各教育委員に加え、教委職員らが出席した。
 神田町長は「冷静になって、今置かれている中での教育のあり方を考えていかなければならない。きたんのない意見を」とあいさつ。多田教育委員長は「懇談会で出された建設的な意見をどう生かしていくかが大事」と述べた。
 続いて教委事務局が、懇談会の開催概要を説明。5地区で計34人の参加があり、少子化が進む中での小中学校のあり方や県立住田高校の魅力づくり、栗木鉄山跡の活用などが話題に上ったとした。
 意見交換では、各教育委員が少子化時代における学校のあり方について所感を述べた。現在、町内の小・中学校は、いずれも世田米、有住の2校体制。世田米小は120人、有住小は62人、世田米中は65人、有住中は54人となっている。
 28年度に町が策定した人口ビジョン・総合戦略・総合計画では「小学校2校を維持することを目標に設定し、複式学級を回避するために1学年20人、2校で40人を確保」を掲げる。現状では、有住小が目標と大きくかけ離れた人数となっている。
 委員の一人は「学校や保育園によっては、4、5人だけの学年もある。何らかの対策を講じなければならず、将来を見据えて今から検討すべき。今後も聞き取りが重要」と述べた。
 別の委員も「真剣に学校のあり方を話し合うべき」と指摘。部活動での人数確保の難しさなどを挙げながら「みんな一丸となってがんばる大切さや、応援する喜びなど、子どもたちが感動を得る機会が少なくなっているのでは」と語った。
 学校のあり方に関しては「小学校は2校のままで、中学校は一緒になってもデメリットはあまりないのでは」「『住田学園』として世田米、有住に校舎は残し、部活動は一緒に行う形はいいと思う」など多様なアイデアが出た。
 一方、仮に町内1校体制になっても1学年1クラス規模になるとしたうえで「一つになる効果が本当にあるのか。マイナス面も大きいのでは」との指摘も。「学年の枠を超えた交流を多くして、社会性を高めることもできる。小さい良さをどう生かすか、という考えも大切では」との投げかけもあった。
 菊池教育長は「当面は『統合』という言葉は使わず、今後の方向性を編み出していきたい。各学校の建物の築年数といった問題もある。(5年後の)第10次教育振興基本計画には、ある程度の方向性を盛り込まなければいけないのでは。小さい子どもを持つ世代にも、投げかけていくことが重要」と述べた。
 各委員は現役のPTA会員や、地域住民からより広く意見を聞き、さまざまな学校の形態を視野に入れながら今後のあり方を考えていくべきとの方向性で一致。さらなる子育て環境の充実や情報発信、移住・定住促進策など、少子化に歯止めをかける取り組みにも力を入れていく重要性も確認しあった。