小友に「西下駅」設置要望へ、BRTの新駅 地域公共交通会議で決定/陸前高田

▲ 小友町西下地内のアップルロード沿いにBRT新駅の設置を要望へ=陸前高田市

 陸前高田市の平成30年度第1回地域公共交通会議(会長・岡本雅之副市長、委員24人)は3日、同市役所で開かれた。中心市街地で9月30日(日)、交通広場が供用開始となることを受けた公共交通の乗り入れについて事務局から説明があったほか、JR東日本に対し、小友町字西下地内に大船渡線BRTの新駅設置を要望することを決定。「市公共交通網形成計画」の策定についても協議し、市民が利用しやすい公共交通のあり方について意見を交わした。


交通広場は9月末供用へ

 

 同会議は、交通事業者と市内各種団体、市、有識者、国、県の出先機関等で構成し、この日は委員23人が出席。戸羽太市長から委員に委嘱状が交付された。
 本年度第1回の開催となったこの日は、会長に岡本副市長が指名されたあと、副会長に岩手県立大学総合政策学部名誉教授の元田良孝氏を選任。議事では、高田町の中心市街地に整備中の「交通広場」が9月末日から供用開始されることが報告された。
 同広場には「陸前高田駅停留所」を設置。①JR大船渡線BRT②県交通路線バス細浦経由高田線、陸前高田住田線、小黒山経由生出線および一関大船渡線③乗合タクシー福伏線、今泉線、高田竹駒循環線および高田米崎循環線④広田地区路線バス広田線⑤デマンド交通──の5種11路線の乗り入れが開始される。高速バス大船渡仙台線、夜行バスけせんライナーについては、今後乗り入れを図るため、運行事業者と協議を進めることとした。
 交通広場には障害者や高齢者向けの「おもいやり駐車場」を整備。シェルターのそばに駐車でき、雨天時にも雨にぬれることなく乗降所へ行けるとした。また、交通広場と同時に高田南幹線・館の沖橋も供用開始されることから、9月30日から路線図が一部変わることも説明された。
 BRTについては、「脇ノ沢―小友駅間に新駅を」という小友地域などからの声を受け、JRに「西下駅」(仮称)の設置を要望することも確認。災害公営住宅・西下団地の向かい、主要地方道大船渡広田陸前高田線(アップルロード沿い)に、上り線(気仙沼方面)と下り線(盛方面)を各1カ所ずつ設け、31年春ごろの営業開始を見込む。
 委員からは「災害公営住宅から位置としては近いが、高齢者に配慮し、駅と団地との高低差があまり大きくならないよう配慮を」といった発言のほか、「どういう形での駅になるのか」と質問があり、会議の構成委員でもあるJR側は「駅開設の際にはバスポールの設置を考えている」という認識を示した。
 この日は、地域にとって望ましい公共交通網の姿を明らかにする〝マスタープラン〟と位置付けられる「地域公共交通網形成計画」についても協議。
 策定にあたっては今秋にかけて統計データの整理、市民・高校生・デマンド交通利用者へのアンケート調査、交通事業者等へのヒアリングを行い、並行して計画素案を作成。11月に予定される第2回会議で素案を示し、市民から意見を募ったうえで、来年2月に計画案を策定するというスケジュールが示された。
 利用者の減少に伴って交通事業者の収益が減少し、ネットワーク縮小やサービス水準の低下することで、結果的にさらなる利用者減少に結びつくという「負のスパイラル」に陥っている実情がある中、委員からは「せっかく交通広場ができるのだから、乗り換えなどの面で利便性が向上するよう、事業者同士で連携してほしい」といった声が聞かれた。
 また、計画期間は原則5年程度となっているが、「陸前高田のように、まだこれからもまちの形がどんどん変化していく地域において、5年という期間が本当に適切かどうかも含め、どんなビジョンで臨むかを考えることも重要」という提言があった。