本年度中に2車線供用へ、県事業の拡幅 バイパス化進む/住田

▲ かさ上げ・拡幅整備が進められている山谷工区=世田米

 県大船渡土木センターは、住田町を通る一般国道340号のうち、陸前高田市側から火石交差点につながる全長約2・7㌔の山谷工区で、本年度中の完全2車線供用化を目指して改良工事を進めている。同区間のうち、田ノ上橋〜山谷バス停付近はかさ上げ・拡幅整備を行い、住田フーズ付近〜火石交差点では新たなルートを設けるバイパス化を実施。かさ上げ・拡幅整備区間は、12月まで片側交互通行となる。供用後は物流の円滑化や交通安全確保など、多方面での整備効果が期待される。

 

国道340号の山谷工区

 

 陸前高田市から続く住田町内の国道340号は盛岡市をはじめ内陸部に向かう際の重要な路線である半面、急カーブなど難所が続く。特に東日本大震災以降、被災地を結ぶ路線として重要性が高まり、同町や陸前高田市は早期整備の要望を根強く訴えてきた。
 区間内の道路は車道が5㍍ほどしかなく、センターラインが引かれていない部分が多い。大型車のすれ違いが困難な状況の中で、沿線には住宅や事業所が立地しているため、歩行者の安全対策の面からも改良が求められていた。
 県は同国道を震災からの復興支援道路に位置づけ、平成24年度に改良事業に着手。用地測量調査などを経て、27年度から工事が本格化した。総事業費は39億6000万円。
 29年度末までに用地買収は完了し、工事進ちょくは70%に到達。山谷バス停付近〜住田フーズ付近では2車線化整備がすでに終わり、走行時の利便性が向上した。
 本年度は気仙川沿いを通る田ノ上橋〜山谷バス停付近でかさ上げ・拡幅工事を実施。最大で高さ2・5㍍のかさ上げを行って洪水時の冠水を防ぐほか、道路幅も車道は6㍍(片側3㍍)、路肩は3㍍(同1・5㍍)を確保する。
 この区間では、左右の車線を交互にかさ上げ整備する計画。現在は砂利道での走行となっているほか、昼間は片側交互通行規制を実施している。工事は12月末までを見込んでおり、同センターでは走行・通過に時間を要する場合があるとし、ドライバーに理解と協力を求めている。
 一方、住田フーズ㈱付近〜火石交差点では、かつて町が整備した木造仮設住宅・火石団地敷地内などを通るルートで道路を新設。車道と路肩に加え、片側には2・5㍍の歩道も整備する計画で、本年度内の完了を目指している。
 バイパス化を終えた後、現道は火石交差点への通り抜けはできなくなり、沿線住民の生活道路などとして活用される。来年度は、この区間での道路補修が行われるという。
 同センターの藤島謙道路整備課長(50)は「復興に資するとともに、内陸と沿岸間の物流円滑化、観光振興などにつながる道路になると期待している。工事期間中は、ドライバーのみなさんには不便をかけると思うが、ご協力をお願いしたい」と話している。