気仙管内 の2海域でマボヤの出荷再開、貝毒による自主規制解除/県漁連
平成30年7月8日付 1面

国の規制値を超えるまひ性貝毒が検出されたため、5月2日から出荷を自主規制していた本県南部海域(広田湾)産マボヤについて、県漁連は3日付で出荷自主規制措置を解除した。検査による毒値が3週連続で規制値を下回ったことによるもの。これにより、先に規制解除となっていた三陸町海域と合わせ、気仙管内のすべての海域でマボヤの出荷が可能となった。旬の時期の出荷再開に関係漁業者から安堵の声が上がっているが、一方で釜石以南海域ではホタテ貝の出荷規制が続いており、南部海域では先月26日、エゾイシカゲガイが初めて出荷停止となった。漁業者や関連産業への影響も大きく、関係者は一刻も早い規制解除を願う。
ホタテは規制継続中、エゾイシカゲガイも
本県では、県内を12海域(気仙は三陸町、大船渡湾東部、大船渡湾西部、南部の4海域)に区分。その中に13カ所の監視定点を設け、ほぼ毎週1回、ホタテ貝を検査している。その結果が国が定めた規制値を超えると、その海域のホタテ貝の出荷が規制されることになっている。ホタテ貝が規制値を超えた場合は、ほかの二枚貝についても貝毒検査を実施する。
気仙管内では、まひ性貝毒の規制値を超えたことにより、4月10日から大船渡湾西部海域、南部海域のホタテ貝出荷自主規制措置が取られており、同24日からは三陸町海域、5月22日からは大船渡湾東部海域のホタテ貝、2日からは三陸町海域のマガキ、マボヤ、南部海域のマボヤも出荷自主規制措置が講じられた。
規制解除の条件は、貝毒検査による毒値が3週連続で規制値を下回ることで、マボヤについては6月8日付で三陸町海域、今月3日付で南部海域で規制が解除。規制中だった三陸町海域のマガキは5月25日付、大船渡湾西部海域のイワガキは6月5日付でそれぞれ規制解除となった。
陸前高田市米崎町でホヤとホタテ養殖を営む金野廣悦さん(69)。ホヤの養殖は平成21年から始めた。「私の大好きなホヤをみんなにも食べてほしいと思って養殖をはじめた。最盛期に出荷ができず、はがゆかったが、解除になってよかった」と話す。
一方で、ホタテ貝は気仙を含む県内6海域で出荷規制が続く。
さらに、南部海域では、6月12日からムラサキイガイが出荷自主規制となり、陸前高田市特産のエゾイシカゲガイも初めてまひ性貝毒の規制値を超えたため、今月4日を見込んでいた今季分の初出荷がずれ込んでいる。
広田湾漁協が「広田湾産イシカゲ貝」としてブランド化を目指すエゾイシカゲガイは、クリーム色のプリプリとした身が濃厚で甘く、料亭やすし店からの需要が高い。同市では全国で唯一、産業ベースで養殖が行われている。
東日本大震災で養殖施設が壊滅したが、平成26年に出荷を再開。天然の稚貝を採取して成育させるため、安定生産への課題は残るものの、昨年は過去最高となる68㌧を出荷した。
今年の出荷量は、稚貝を十分に確保できなかったため、前年よりも17㌧少なめの51㌧程度を見込む。生産者でつくる広田湾産イシカゲ貝生産組合(熊谷信弘組合長)は、出荷開始が遅れているため、例年よりも出荷時期を延ばして目標の数量達成を目指す。
熊谷組合長(62)=気仙町=は「(出荷規制は)残念だが、待つしかない。規制値を上回った値は小さく、早ければ今月中にも出荷が再開できるのではないか。設備導入費を補助するなど市からも応援してもらっているので、期待に応えられるよう仕事に当たっていく」と力を込める。