学びやの階段が記念品に、来月の成人式で贈呈へ/住田町

▲ 住田のこだわりが込められた木製カードケース=上有住

 住田町は、8月12日(日)に行われる成人式で、出席した新成人に木製カードケースを贈る。町が取り組む「木いくプロジェクト」の一環。その材料には、昨年度解体された旧大股小学校の階段材が用いられ、現在町内の工房で製作作業が進む。プロジェクト関係者は新たに生まれ変わった材料に古里への誇りを託すとともに、未来を担う若者たちの飛躍への期待を込める。

 

解体前の旧大股小校舎内の階段=世田米、昨年10月

カードケースに加工、旧大股小の解体材活用

 

 木いくプロジェクトではこれまで、地元産材を活用した地域振興策を展開。学校用机・いすの新調に加え、町内新生児には誕生祝い品として、離乳食用の木製スプーンとケースのセット、玩具をプレゼントしている。
 昨年、名刺を入れて活用できる木製カードケースを初めて新成人に贈呈したところ、好評を博した。今年も未来を担う若者たちの手に届けようと、上有住に構える町木工館の指定管理を担うアトリエリトアの大村圭代表(44)が製作を進める。館内では地元産材による家具製作などにあたる傍ら、地道に細かい作業を重ねる。
 カードケースは、オイルライターのように上部のふたの片側が本体と連結し、片手で開閉できる。デザインは昨年とほぼ変わらないが、今年は材料に旧大股小学校校舎の階段材を活用した。
 同校舎は、現在の大股地区公民館に隣接し、昨年度に解体工事が行われた。平成3年度まで小学校として利用され、その後は物置などとして活用。解体時には、丈夫なサクラの階段材は廃棄せず、アトリエリトアで保管していた。
 今後は塗装に加え、「SUMITA WOOD WORKS」の焼き印を施す。一つずつ木目模様が異なり、使い重ねることで独特の色合いに変わっていくという。
 大村代表は「加工する前に釘を抜いたりしなければならず、効率的には良くない。しかし、そのまま捨ててしまうのも、もったいない」と語る。手を抜かず、心を込めてつくることで、古き良きものを生かす大切さを込める。
 成人式の式典は、町と町教育委員会が主催。気仙では唯一、毎年夏の帰省時期に合わせて開催している。
 本年度の対象は、平成10年4月2日〜11年4月1日に生まれた同町出身者と町内在住者計62人(男性39人、女性23人)で、昨年度に比べると23人多い。午前10時から役場町民ホールで式典を挙行後、地元有志の新成人による実行委主催の交流会が同交流プラザで開かれる。