「分かりやすく」見直しへ、町人口ビジョン・総合戦略・総合計画/住田町
平成30年7月14日付 1面
住田町は本年度、平成27年度末に策定した町人口ビジョン・総合戦略・総合計画の見直しを進めている。登載された重点施策の事業が複数の分野で再掲されるといった見にくさなどが指摘されていた中、計画や構成の「分かりやすさ」を高める。また、数年に一度しかまとめられない統計調査に基づく目標値ではなく、年度ごとに到達度が把握しやすい数値での管理を目指す。町では、町民が目標を共有しやすい形に整えながら、持続可能なまちづくりに向けたさらなる意識醸成を図ることにしている。
国のまち・ひと・しごと創生法に基づき、町は27年度から5カ年の人口ビジョンと総合戦略、さらに28年度から4年間にわたる総合計画を策定。人口ビジョンでは町の将来展望を、総合戦略ではその政策目標や重要施策を掲げ、総合計画は各重要施策の部門別計画に位置づけている。
策定時の人口ビジョンは24㌻、総合戦略は18㌻、総合計画(部門別計画含む)は95㌻の構成。いずれも町政策の根幹となる半面、見にくさや目標に対する進ちょく把握の難しさなどが指摘されていた。
例えば、空き家リフォーム事業は「移住支援」と「農林業の活性化」に重複して掲載。総合戦略の基本目標ではKPI(主要業績評価指標)を設けて進ちょくを管理しているが、製造業や農林業、商工業の売上高は5年に一度基礎調査が行われる経済センサスでの数値を用いており、毎年の実績把握が難しい形になっていた。
さらに、毎年行っている住民評価アンケートでは▽道路環境や交通の便▽医療環境▽買い物の便利さ──の3項目で満足度を調査。「満足」「やや満足」の回答割合の数値管理は行っているものの、道路環境や医療に関しては、満足度を高めていくための具体的な目標数値を掲げていなかった。
これまで開催してきた町人口ビジョン・総合戦略・総合計画推進委員会や庁内などでの指摘を受け、本年度に入り見直しを本格化。事業の重複を避けることで「スリム化」を図るほか、産業面に関する目標値も毎年の推移が把握できる数値を基準とし、年度ごとの変動を「見える化」させる。
また、医療面における事業の再構築に加え、実施に至っていない事業に関しては再検討も。8月の推進委員会で素案を示し、町議会全員協議会にも諮ったうえで9月中にも取りまとめる。
横澤則子企画財政課長は「より目標の設定を明確にしたい。計画策定から3年目に入り、次の計画更新の時に生かされるような良いものにしていきたい」と話す。
一方で、人口ビジョンでの「出生率の向上と社会増減ゼロを実現し、平成52年(2040年)には4000人の人口を目指す」とする目標人口は、今回の見直しでは変更しない。総合戦略で掲げる婚姻数(年間20組)や出生数(同31人)、移住者数(5年間で135人)、合計特殊出生率(1・5)といった指標も見直さない。
現在、住田町の人口は5500人余。今年3月に発表された国立社会保障・人口問題研究所(社人研)による将来推計人口では、人口ビジョンの目標年である2040年の人口が3153人にまで減少するとしている。総合戦略で掲げる各事業の昨年度の到達状況見込みをみると、婚姻数、出生数、移住者、合計特殊出生率はいずれも目標を下回る実績で推移している。
町は目標人口などに関しては、次期計画策定時に見直す考え。人口減少に歯止めがかかっていない状況も丁寧に分析し、住民が主体的に参画できる取り組みのあり方などを検討することにしている。