津波避難マップ見直しへ 、住民参加のWSスタート/大船渡

▲ 地図を広げて討議を進める参加者たち=綾姫ホール

 大船渡市の津波避難マップ作成に関するワークショップは17日夜、三陸町綾里の綾里地区コミュニティ施設・綾姫ホールで開かれた。平成17年に作成された市の地区別津波避難マップの見直しを図るためのもので、綾里地区を皮切りに市内全10地区で開催する。参加した住民らは、自身が住む地域の避難場所や危険箇所などを話し合いながら、地域の現状を把握。地域の課題や市への要望を発表しあった。
 17年に作成されたマップは、県の津波浸水予測などを基にしていたが、東日本大震災津波では、この予測をはるかに上回る範囲が浸水した。このため、市では大震災のほか、チリ地震津波と明治、昭和の三陸大津波での最大浸水範囲に基づいた新たなマップを作ることを決め、市内全10地区でマップ作成にかかるワークショップを行うこととした。
 そのトップを切って開かれた綾里地区のワークショップには、自主防災組織や消防団のメンバーら約40人が参加。居住地別に10地区に分かれ、それぞれリーダーを決めてグループ討議を行った。
 討議では、過去の津波の浸水範囲や第1、第2避難場所などがあらかじめ記載されている地図に、公共・防災施設や危険・要注意箇所、避難が可能な場所、避難経路などを書き込んだほか、それぞれの地区の概要、指定緊急避難場所とそこまでの経路、地域での取り組みや今後の課題について取りまとめた。
 このあと、各地区で取りまとめ内容を発表。「大震災で崩れた市道が完全に復旧していないので、なんとかしてほしい」といった要望や、高齢者の避難誘導、地区内にある危険な箇所の整備などという課題が出された。
 港地区に住む和田桂一さん(66)は「港は坂道が多く、道路も狭いので、避難時に高齢者を歩かせるのが困難な場所がある。第1避難場所のうち、市役所の旧綾里出張所は綾姫ホールで鍵を管理しているので、避難するにしても、綾姫ホールまで鍵を借りに行かないといけない」と地域の課題を説明した。
 ワークショップは、市内各地区でそれぞれ全2回を予定。市では、今回の協議内容を反映させたマップを作成し、10月上旬に開催予定の第2回ワークショップで住民らからの意見を求めることとしている。
 これらを基に完成させたマップは、来年4月上旬にも市内各戸に配布される。