三陸沿岸道2区間開通へ、28日に長部ICまで延伸/8月11日に吉浜─釜石間5㌔
平成30年7月19日付 1面
国交省東北地方整備局南三陸国道事務所(折笠徹所長)は、三陸沿岸道路の「唐桑高田道路」(延長10㌔)のうち、陸前高田長部インターチェンジ(IC)─陸前高田IC間の延長6.5㌔が28日(土)、「吉浜釜石道路」(同14㌔)のうち吉浜IC─釜石南IC間の同5㌔が8月11日(土)に開通すると発表した。これにより、気仙両市を通る三陸沿岸道は、岩手・宮城県境付近から釜石市南部までの40.2㌔が一本の道につながることとなる。大規模災害時も寸断されない「命の道」の整備が順調に進んでいる。
県境~釜石市の40㌔連結
三陸沿岸道路は、宮城県仙台市から青森県八戸市までの三陸沿岸を結ぶ総延長359㌔の自動車専用道路。震災からの復興に向けたリーディングプロジェクトとして、国が「復興道路」に位置づけて整備を進めている。
気仙地区では震災後、「高田道路」(延長7・5㌔)が平成26年3月、「吉浜道路」(同3・6㌔)が27年11月にそれぞれ供用を開始。16年度までに開通した「大船渡三陸道路」(同17・6㌔)と合わせ、延長28・7㌔がつながっている。
本年度内には、高田道路南端の陸前高田ICから宮城県気仙沼市の唐桑北IC(仮称)を結ぶ「唐桑高田道路」、吉浜道路北端の吉浜ICから釜石市の釜石ジャンクション(JCT、仮称)を結ぶ「吉浜釜石道路」が新たに開通する予定。
唐桑高田道路のうち、28日に開通するのは陸前高田市気仙町水上から竹駒町相川までの同6・5㌔。区間内には、新気仙大橋(同438㍍)、気仙トンネル(同706㍍)、長部高架橋(408㍍)の三つの構造物があり、陸前高田長部ICは上下線で出入り可能なフルICとして整備する。
陸前高田長部IC付近の長部地区は現在、水産加工団地が形成されており、今回の延伸で海産物の輸送効率の向上が期待される。
一方、吉浜釜石道路のうち8月11日に開通するのは、大船渡市三陸町吉浜から釜石市唐丹町までの同5㌔。区間内には三陸沿岸道内最長の新鍬台トンネル(同3・3㌔)がある。同区間に並行する現道の国道45号の線形不良箇所を解消し、ほぼ一直線のルートに抜本改良。交通の安全性や救急医療の向上など多方面への整備効果を見込む。
両区間ともに震災後に事業化され、着工から6年余りのスピード開通を実現させた。残る区間も順調に工事が進められている一方、吉浜釜石道路の北端・釜石JCTから南約1㌔地点では、県が用地確保のため整備ルート上にある住宅などを強制収容する行政代執行を行った。
達増拓也知事は「復興を成し遂げる必要不可欠な道路で、かつてないスピードでの整備に感謝している。海産物の輸送効率向上、販路拡大による水産業振興、重点道の駅『高田松原』や津波復興祈念公園などへのアクセス向上による広域観光ルートの形成が期待され、三陸沿岸の復興を力強く後押しすると確信している」とのコメントを出した。