大幅な増減なく推移、スタートから5年余の大船渡線BRT利用者

▲ 運行スタートから5年余となった大船渡線BRT。利用者は大幅な増減なく推移している=大船渡駅で

 

JR東日本はホームページで、平成29年度の路線や駅別の利用状況などについて公開している。東日本大震災後に運行を始めたバス高速輸送システムの大船渡線BRT(気仙沼駅―盛駅)は、平均通過人員(1日1㌔当たりの平均輸送量)254人。被災直前の鉄道時に比べると6割ほどにとどまっているが、BRT化以降で見ると、大きな増減なく推移している。

 大船渡線BRTは、東日本大震災津波の被災区間でレールを撤去後に舗装した専用道を設けるなどして、25年3月から運行を開始。
 一般道も走ることから、土地区画整理など復興事業に対応する形でルートを随時変更。地元要望を受けて新駅を開設するなど、バスならではの柔軟な体制をとっている。1日当たりの本数は、被災前の倍以上に増えており、高校生の利用が見込まれる朝の便を充実させている。
 このほど公表された29年度の状況によると、気仙沼駅―盛駅間の平均通過人員は254人で、旅客運輸収入は6600万円。

 平均通過人員は、震災前で鉄道だった22年度に比べ172人の減。BRT化以降を見ると、25年度200人、26年度250人、27年度314人、28年度276人と、大幅な増減なく推移している。
 29年度の1日平均の駅別乗車人員は別表の通り。気仙の区間でもっとも多かったのは「盛」の222人で、「高田高校前」87人、「陸前高田」75人、「大船渡」62人、「小友」40人などと続いた。
 一方、もっとも少なかったのは「奇跡の一本松」の9人。新たに設けられた「まちなか陸前高田」は24人だった。駅別乗車人員も25年度以降で大きな動きは見られない。
 大震災から7年が過ぎ、被災自治体の復興まちづくりの〝完成型〟の輪郭がはっきりしてきた。現在、全体の約37%となっているBRTの専用道化率は、脇之沢駅―小友駅間や陸前矢作駅付近で予定される延伸により、近く約43%まで至る見通し。
 陸前高田市はJRに対して新駅一つの設置を要望することを決めており、これら要素が今後の利用にどのように作用するか注目されそうだ。