三陸沿岸道路 唐桑高田道内6・5㌔開通、長部地区まで走行可能に/陸前高田(別写真あり)

▲ 開通を祝い、テープカットを行う関係者=気仙町

 陸前高田市と宮城県気仙沼市を結ぶ三陸沿岸道路の「唐桑高田道路」(延長10㌔)のうち、陸前高田長部インターチェンジ(IC、気仙町)─陸前高田IC(竹駒町)間の延長6・5㌔が完成し、28日午後3時に一般供用を開始した。着工から6年余りでのスピード開通となり、地元住民を含めた関係者が災害時も寸断しない「命の道」のさらなる延伸を喜んだ。8月11日(土)には、大船渡市から釜石市へとつながる「吉浜釜石道路」(同14㌔)のうち5㌔が開通する。

気仙の「命の道」延伸

8月、吉浜釜石道の5㌔完成

 

 開通式は、陸前高田長部IC側の唐桑高田道路上で行われ、国、県、市、地元の関係者や用地提供者ら約150人が出席。式に先立ち、地元に伝わる「長部大漁唄いあげ乗付唄」が披露された。
 達増拓也知事は「開通まで6年余りというかつてない早さで整備され、復興を力強く後押しすると確信している。国、市町村などと一体となり復興道路の早期全線開通に総力を挙げて取り組んでいく」とあいさつ。
 戸羽太市長は「観光地への誘客、交流人口増加による地域経済活性化にも寄与するほか、災害時の緊急避難路、医療の地域間格差解消など安全安心な地域住民の暮らしの実現が大きく前進する」と喜びを語った。
 来賓の鈴木俊一五輪担当相は「西日本が豪雨災害に襲われたように、岩手でも津波以外のさまざまな災害が起こりうる。三陸沿岸道路は安全安心を確保する命の道路として機能していく」と開通を祝い、平野達男、木戸口英司、佐藤信秋各参議院議員も祝辞を述べた。
 地域関係者を代表し、陸前高田市消防本部の平立身消防長が「傷病者をより安全に搬送できる。線形不良箇所が解消され、搬送患者の身体的負担の大幅な軽減も図られる」と救急・救命活動に関する整備効果を述べた。
 テープカットのあと、パトカーを先頭とした約60台による走り初めも。午後3時からは一般車両の走行が可能となり、多くのドライバーが利用していた。
 三陸沿岸道路は、宮城県仙台市から青森県八戸市までの三陸沿岸を結ぶ総延長359㌔の自動車専用道路。震災からの復興に向けたリーディングプロジェクトとして、国が「復興道路」に位置づけて整備を進めている。
 唐桑高田道路は、本県分8㌔、宮城県分2㌔の延長10㌔で、平成24年2月に着工。総事業費は687億円。
 今回の開通区間内には、気仙川大橋(延長438㍍)、今泉トンネル(同706㍍)、長部高架橋(同408㍍)の三つの構造物があり、陸前高田長部ICは上下線で出入り可能なフルICとして整備した。
 並行する国道45号の線形不良箇所をほぼ直線路に改良し、走行の安全性が上がった。同IC付近は水産加工団地が形成されており、海産物の輸送効率向上による水産業振興も期待される。
 気仙両市を通る三陸沿岸道路は、長部地区から大船渡市三陸町吉浜までの35・2㌔が一本の道につながった。
 唐桑高田道路内の残る3・5㌔は本年度内に開通する。吉浜釜石道路も本年度内の開通を予定しており、このうち吉浜IC─釜石南IC間の5㌔が8月11日に供用を開始する。