東海インターハイ/支援への感謝胸に1勝目指す、高田女子がバレーボール出場へ

 全国高校総合体育大会(インターハイ)は8月1日(水)、三重県伊勢市の県営サンアリーナで総合開会式が開かれ、バレーボール女子は2日(木)~5日(日)、同県津市の3会場で繰り広げられる。同競技岩手代表で、9年ぶりとなるインターハイでの躍進に期す高田を紹介する。

 

あす総合開会式

9年ぶりの夢舞台 健闘誓う

 

インターハイに向け、集中的にレシーブ力強化を図ってきた

 「ここまでプレーすることができたのは、たくさんの方々のおかげ」。6月の県高総体。高田は震災後全国から受けた支援、支えてくれた家族、応援し続ける地域住民への感謝の思いを胸に臨み、9年ぶりの優勝を果たした。
 通算21回目で、東日本大震災後初めての出場となるインターハイ。復興を目指す陸前高田に元気を届けるためにも、まずは「全国1勝」を目指して大舞台に挑む。
 3年生8人(マネジャー1人含む)、2年生6人、1年生7人の計21人。チームの特徴は、県内でも珍しいというツーセッター制だ。
 前衛にアタッカー3人を常に据えられるため、多彩な攻撃を仕掛けられるツーセッター制。身長170㌢台が2人、チームの平均身長162・5㌢と高さを強みとできない分、違う戦い方を武器としようと、昨年11月に取り入れた。
 セッターを担うのは、主将の安居絵薫(3年)と山田絢音(同)。安居はアタッカーの特徴を生かすトスを供給でき、クイックのトス精度も上げた。山田は170㌢の身長を生かし、高いトス位置からコンビ攻撃を引き出す。
 攻撃の要は、レフトの菅野智楠(3年)、伊藤はるき(2年)と、セッターに加えてライトも担う山田の3人。
 パワー型の菅野は対角のネット近くに打ち込む鋭いインナー打ちが得意。伊藤も威力のあるスパイクを武器とする。チーム唯一のサウスポーの山田は、最高到達点2㍍85㌢の打点からキレのあるスパイクを繰り出す。
 ゲームキャプテンを務める山田は「余裕がなくなる場面でしっかり声をかけるのが役目。試合中はどんな展開でも焦らず冷静でいたい」と心がける。
 菅野は「自分がどう得点するかというよりも、チームでどう1点を取っていくか考えてプレーする」とコンビバレーを念頭に置く。

 

体力強化の練習量が自信に

 

 県高総体決勝の盛岡誠桜戦。高田は第1セットを奪われたものの、第2、第3セットでは、それぞれ劣勢をひっくり返して制し、逆転勝ちした。全員でボールに食らいつく高田らしい粘り強い守備でリズムをつくり、同大会8連覇中の強敵を下し、インターハイ切符を手にした。
 厳しい試合を最後まで戦い抜くことができた要因の一つとして、指導関係者は「基礎体力の強化が大きい」と話す。大会直前を除き、約2時間ある平日練習では、坂道ダッシュやウエートトレーニングに半分の時間を費やしてきた。体力強化の練習量はこの5年で最も多い。
 安居主将も「大会でも体力が落ちてプレーの質が落ちるということは少なくなった。練習量には自分たちも自信がある」と語る。

 

県高総体同様、サーブで相手を崩せば勝機が見えてきそうだ

意表突く攻撃で対抗を

 

 予選グループ戦の初戦でぶつかる細田学園(埼玉)は、186㌢の大型選手を擁する。真っ向勝負のみで挑まず、相手の意表を突くような攻撃や、相手ブロックに軽くボールを当てて跳ね返らせ、攻撃チャンスを再び生み出す「リバウンド」をものにするといった「巧さ」も求められる。
 不可欠なのが、安定した守備。「レシーブはまだ甘い」(吉田幸大監督)といい、インターハイに向け、市バレーボール協会員らの指導を受けながら集中的に磨きをかけてきた。
 また、エースの山田、菅野、伊藤の3人は、対戦相手からマークされることが想定される。ミドルブロッカーの小西優香(3年)と白木澤彩里(2年)を軸とした時間差攻撃などにも期待がかかる。
 県高総体では、得点したい場面でサーブも冴えた。特にピンチサーバーとして起用された菅野愛季(3年)は変化に富むジャンプフローターサーブで相手を揺さぶり、優勝に大きく貢献した。インターハイでも選手一人一人の個性を生かし切りたい。
 細田学園を下せば、決勝トーナメントに進出できる。敗れた場合は敗者復活戦にまわるが、京都橘(京都)─東海大諏訪(長野)戦の敗者との試合で勝利すれば決勝トーナメントに進める。
 安居主将は「高さではかなわなくても、粘り強くボールを拾い続ければ自分たちのリズムは生まれると思う。インターハイという大舞台でも自分たちらしい『楽しいバレー』を披露し、支えてくれた人たちへの恩返しとできるような結果を残したい」と誓う。
 吉田監督は「全国の強豪には、岩手勢はバレーボールが弱いと思われているかもしれないが、だからこそつけいる隙はあると思う。県高総体のように地域の皆さんに笑顔を届けられるよう何としても1勝をもぎ取りたい」と力を込める。