「地域創造学」成果と課題は、町独自新設教科の運営指導委を開催/住田

▲ 1学期の学習内容をもとに意見交換=住田町役場

 住田町教育研究所による研究開発学校第1回運営指導委員会は31日、町役場で開かれた。昨年度、町内の小中高校計5校が文部科学省の研究開発学校に指定され、町教委と連携しながら新設教科「地域創造学」を研究。本年度から、各校では本格的な授業実践を進めている。指導委員と各学校長らは、1学期の取り組み成果や浮き彫りとなった課題を共有し、子どもたちがより主体的に探究心を持ちながら学び合う形を探った。

 

1学期の取り組み報告

 

 運営指導委員は、教育分野の学識経験者ら7人で構成。委員に加え、教育研究所運営委員を務める町内小中高校、保育園の各代表者や、研究所職員ら10人余りが出席した。
 冒頭、菊池宏教育長は「地域課題解決に向け、具体的に行動できる力をつけさせたい」とあいさつ。今後は認定こども園として保育園児も対象に含め、成長・発達に合わせた系統的なカリキュラムづくりを展開していきたい考えも示した。
 議事では、これまでの教育研究所事業の進ちょくについて説明。小中学校全学年で「地域創造学」の授業を年間62〜110時間設定し、住田高では総合的な学習の時間の中で位置づけてきた。
 各校とも、1学期は地域の「ひと・もの・こと」を題材としながら、子どもたちが主体性を持って探究的に学べる授業のあり方を工夫。校内研究授業相互交流では、教職員のみならず地域住民も招き、目指すべき方向性の共有を図った。
 引き続き、各学校長が本年度の取り組みの一部を説明。このうち、世田米小3年生は「住田のすごい!」を出し合い、観光名所や歴史文化資源を意欲的に学習してきた。有住小4年生は気仙川が町民歌の歌詞に登場することなどに着目し、人々が寄せる思いや自然資源の豊かさなどに理解を深めている。
 また、世田米中では生徒が保護者とともに「夢さがし」を行い、住田の魅力や今後の可能性を探った。有住中では生徒自身が身近な地域を題材とした課題を見つけ、さらに研究成果を発信していく流れを重視している。住田高では、町の将来像を探る「提言ワークショップ」を実施するなどして、地域創造学が掲げる「社会的実践力」の育成を図ってきた。
 これまでにはない新設教科の取り組みとあって、各校の発表では教職員が試行錯誤しながら授業内容を固めてきた足跡がうかがえた。今後の課題では「地域との協力が不可欠で、連絡・調整などで多忙感がある」「地域との取り組みを広げていくには、調整役となる人が必要となってくるのでは」といった声が寄せられた。
 学校によっては「総合的な学習との違い」が教職員間で議論になったという。地域創造学では人口減少や地域活性化にもつながる柔軟な取り組みに加え、他の各教科で力をつけていくための根底となる能力を養うといった方向性も示された。
 委員からは「教職員の不安をどう払拭していくか」といった指摘も。地域の動きを取り上げた新聞記事を有効に活用し、授業充実のヒントを見いだしていくといったアドバイスも送られた。
 2学期以降も授業実践を重ね、次年度の計画作成などにつなげる。各校では引き続き、校内研究授業相互交流を行うほか、12月には文部科学省による実地調査も計画されている。