「調停不成立」の経緯説明、木工2事業体融資金回収問題/住田町議会全協で
平成30年8月14日付 2面
住田町議会全員協議会は12日、議員控室で行われた。町側は、三陸木材高次加工協同組合と協同組合さんりくランバーの融資残額や町有林原木未納額計10億円超の支払いを求め、両事業体や連帯保証人を相手に申し立てていた調停が不成立となった経緯を説明。今後の対応策は、一定期間をかけて固める姿勢を示している。
町は昨年11月、事業体や保証人計16個人・団体を相手に、支払いを求める調停を大船渡簡易裁判所に申し立てた。しかし、支払額を巡り折り合いがつかず、今月8日の調停で裁判所側が双方に手続き打ち切りの旨を告げられたとみられる。
全員協議会は、役場で開催された成人式後に非公開で行われた。神田謙一町長や横澤孝副町長らが出席し、これまでの調停を巡る動きや、手続きの打ち切りを議員に報告したとみられる。
出席者らによると、町としての今後の方向性については▽支払いを求める訴訟▽町が抱える融資金などの債権放棄▽事業体の操業動向を見守っていく〝現状維持〟──などが話題に上がった。町では現時点でどの方向でいくかは固めておらず、慎重に見極めていきたい方針だったという。
町側の説明に続き、各議員が発言する時間も設けられた。「現状維持の中で、継続のあり方を考えるべき」「(一昨年秋に事業体側が示した)再建計画に基づく回収や、経営安定化ができないかも探っていくべき」といった意見が寄せられたという。
また、事業体経営陣に対し、責任の明確化などこれまで以上に厳しい姿勢をとっていくべきとの発言も。住民への説明機会に経営陣も説明役として呼ぶべきとの意見や「最初から存続ありきという姿勢をとったことで、調停では相手側に足元を見られたのでは」「事業体を守るあまり、他の事業体や行政に影響がでるようなことはあってはならない」「われわれが希望をみいだしてきた調停という手続きは何だったのか、検証すべき」との声も聞かれた。
終了後、菊池孝議長は「きょうは、調停の中身について説明を受けた。今後の方向性はこれから。どういう形がいいのかを、模索していく形になる」と話した。
一方、神田謙一町長は「今まで気づかない中にも、良い方策があるかもしれない。ベストな方法を探していきたい」と語り、一定期間をかけて対応策を固めたい意向を示した。