門出祝福 さわやかに、県内トップ切り成人式/住田(動画、別写真あり)

▲ 記念撮影で晴れやかな表情を浮かべる新成人たち=住田町役場

 住田町の平成30年度成人式は12日、町役場で開かれた。今年も県内のトップを切る夏開催で、62人の門出を祝福。一人ずつ名前が呼ばれた新成人は、多くの町関係者や恩師らが見守る前を歩き、今後の飛躍を決意。木造庁舎とさわやかな緑に囲まれる中で記念撮影も行い、古里や復興への貢献も誓い合った。

 

 62人が対象、古里貢献と復興へ決意

 

 気仙3市町では唯一、お盆の帰省時期に合わせている住田町の成人式。県内をみると、夏開催の市町村でも15日前後が多く、本年度もトップを切る門出となった。
 新成人の対象者は、平成10年4月2日から11年4月1日までに誕生した62人(男性39人、女性23人)。約8割にあたる49人に加え、小中学校時代の恩師や町関係者、町議ら計約100人が出席したほか、晴れ舞台をひと目みようと保護者も多数詰めかけた。
 式では国歌斉唱に続き、出席した新成人を一人ずつ紹介。大きな声で返事を響かせたあと、中央の通路を歩いて自席に戻り、家族や町関係者に成長した姿を示した。
 式辞で神田謙一町長は「若さの特権は、やり直しがきくこと。失敗をおそれず、自由な発想でどんどんチャレンジを。それぞれの目標、夢、理想に向かって活躍し、あすの社会、あすの住田をつくる原動力になってほしい」とエールを送った。
 菊池孝町議会議長による祝辞に続き、新成人を代表して菊池恵美さん(19)=さいとう製菓㈱勤務、有住中出身=が答辞。「先輩方からいただいた知恵を忘れずに自分を鍛えるとともに、住田に生まれ、育ったことに誇りを持ち、古里に貢献できるよう努める」と語った。
 終了後は、屋外で記念撮影。周囲の緑がさわやかに輝く中、木造の役場前で笑顔を浮かべ、華やかさに包まれた。
 引き続き、新成人らによる実行委員会(水野将仁委員長)が企画、運営を担った交流会「味わい知る ふるさとすみた」を交流プラザで開催。地元食材をふんだんに用いた「鶏ハラミ焼き」「鶏のから揚げ」「アユの塩焼き」「すみたっこバーガー」「一口かま餅」などが並んだ。
 乾杯後、ふるさとの魅力が詰まったおいしさを味わいながら懇談。思い出話を弾ませるだけでなく、小中学校の恩師によるスピーチには、りりしい表情で耳を傾けていた。
 7年5カ月前の東日本大震災時は、小学6年生だった世代。陸前高田市高田町の自宅が被災した菅原三四郎さん(19)=東北福祉大学2年=は、中学1年生の時に高田一中から世田米中に転校。高校3年生時まで、町内に建設された木造仮設住宅から通った。
 交流会では、友人たちと再会を喜び合いながら談笑。「転校した時は不安だったけど、みんな温かく迎えてくれて、楽しい思い出を重ねる中で悲しみが少しずつ癒えていった。現在学ぶ福祉の分野などで、古里の復興にかかわることができれば」と話していた。
 水野委員長(19)=㈲柴田建設勤務、世田米中出身=は「土木工事に携わることが多く、自分はまだまだではあるけれど、少しでも復興に貢献していきたい。きょうは、みんなの笑顔をみることができて良かった」と語り、充実感をにじませた。
 本年度も、町が進める「木いくプロジェクト」の一環でつくられた木製カードケースを新成人に贈呈。新成人の多くは実家から離れて暮らす中、「町からの発信に協力を」として現住所やメールアドレスなどの個人情報を記入してもらう時間帯も設けた。