力士の迫力 まちに熱気、大相撲の〝復興場所〟/陸前高田(動画、別写真あり)
平成30年8月16日付 7面

大相撲夏巡業の「復興・りくぜんたかた場所」は15日、陸前高田市高田町の市総合交流センター(夢アリーナたかた)で開かれた。鶴竜関、白鵬関、稀勢の里関の3横綱に加え、名古屋場所優勝の関脇・御嶽海関も参加。満員御礼となる約2800人のファンが詰めかけた会場では、3横綱の土俵入りや迫力ある取組が行われ、震災発生から7年5カ月が過ぎた被災地は熱気に包まれた。
2800人が来場、3横綱も気迫の土俵入り
同場所陸前高田ライオンズクラブ実行委員会(村上富夫委員長)が主催。震災で被災した市民体育館やB&G海洋センターの機能を有し、4月に開館した夢アリーナのオープン記念事業と位置づけ、地域経済の活性化、交流人口の増加にも寄与しようと企画した。
実行委によると、同市での巡業は約60年ぶり。お盆の時期とも重なり、夢アリーナには帰省者を含め大勢の人が集まった。
午前中は、サイン・握手会のほか、子どもたちとの写真撮影、幕下以下の取組が繰り広げられた。相撲甚句や、禁じ手を面白おかしく紹介する「初(しょ)っ切(き)り」など巡業ならではの出し物も会場を埋め尽くしたファンを喜ばせた。
その後幕内、横綱による土俵入りが行われた。横綱の3人は力強い所作で魅了し、四股を踏むのに合わせて観客は「よいしょ」と掛け声を響かせた。
勧進元(主催者)を代表して村上委員長が「巡業を通じて陸前高田の復興が一段と進み、交流人口の増加、 地域が活気づくことを期待している。迫力ある取組と力士とのふれあいを楽しみ、忘れ得ぬ一日としよう」と土俵上であいさつ。実行委名誉顧問の戸羽太市長は「白熱した取組を見て、また明日から復興へと頑張ろう」と呼びかけた。
引き続き、稀勢の里関と、本県出身の幕内力士、前頭十枚目の錦木関に対して贈呈式も。高田町の障害者就労継続支援事業所「あすなろホーム」、北限のゆず研究会から自慢のゆず製品が贈られ、錦木関にはJAおおふなとから地元のブランド米「たかたのゆめ」180㌔も贈られた。
幕内力士による取組は終始盛り上がりを見せ、錦木関が寄り切りで豊山関を下すと大きな拍手が送られた。結びの一番では鶴竜関と稀勢の里関の横綱対決が組まれ、鶴竜関が寄り切りで白星を挙げ、観客は両者の健闘をたたえた。
大関の髙安関のファンという越喜来中(大船渡市)の石川大地君(3年)は「遠藤関などのサインをもらった。間近で相撲を見られるめったにない機会なので、開催されてうれしい」と目を輝かせていた。
錦木関は「多くの方から応援していただきうれしかった。先場所は負け越してしまった。秋場所は勝ち越して元気を届けたい」と思いを新たにしていた。