大船渡市長選/告示まで3カ月、新人・現職の一騎打ち濃厚

戸田公明氏

藤原良信氏

 11月18日(日)の大船渡市長選告示まで、残り3カ月となった。現在、表明順に新人で元参議院議員の藤原良信氏(67)=日頃市町・無所属=と、2期目の現職・戸田公明氏(69)=猪川町・同=の2人が出馬を予定。ほかに立候補へ向けた具体的な動きはみられず、両者の一騎打ちが濃厚となる中、両氏の後援会では組織を再構築して基盤固めを図っており、今後の前哨戦では支持拡大へ向けた動きを活発化させていくとみられる。

 

選挙戦に向け基盤固める、支持拡大へ動き活発化


 今回の市長選は、昭和27年の市制施行から数えると通算19回目、三陸町との合併後は5回目、東日本大震災後は2回目。11月18日告示、同25日(日)投票の日程で行われる。
 今市長選では、2月中旬に藤原氏が立候補を表明。戸田氏も直後に3選出馬への起意を示し、長期の前哨戦が続いている。現時点で、両氏のほかに出馬の動きはみられていない。
 藤原氏は衆議院議員秘書を経て、昭和62年の県議選から連続5期当選を果たし、平成15~17年には議長を務めた。19年の参院選に、民主党公認で比例区へ出馬して初当選。25年の参院選では、生活の党から再選を目指したが落選した。
 2月に行った出馬表明会見では「今までの国、県との関係を生かして、地域発展を図っていきたい」と述べ、復興や人口減少・少子高齢化に対応したまちづくりへ意欲を示した。
 同氏後援会(宮澤信平会長)では出馬表明に合わせ、後援会組織の再構築を行った。市内19地域に支部を設けたほか、同氏を推薦した事業所で構成する企業連合会(11部会)を立ち上げ、県議時代から続く支持層からの広がりや経済界を軸とした浸透も図る。
 藤原氏は先月下旬、▽国際リニアコライダー(ILC)の機材の荷揚げ港の確保と活用▽総合運動公園の整備▽命を守る防災体制の検証──などからなる12項目の政策を発表。「政策、やろうとすることをどれだけ浸透させていくかが重要。大船渡の課題を認識して将来展望をつくり、孫子の代まで続くよう提言し、活動に臨んでいく」と話している。
 戸田氏は、大手建設会社を辞して18年の市長選に立候補するも、現職との一騎打ちに敗れた。再挑戦した22年の市長選では、新人同士の三つどもえを制し、1万1531票を獲得して初当選。26年の前回選では新人候補に2662票差をつけ、1万2062票で再選を果たした。
 5月の立候補表明会見では「復興の総仕上げと、持続可能なまちづくりを進めたい」と、自ら携わった復興計画(23~32年度)の完遂と地方創生の取り組みなどに決意を示した。
 同氏後援会(水野公正会長)では、これまでの選挙戦で市内に展開した支部組織体制を再構築し、町単位などの12支部を設置。過去3度の選挙戦を支持した層を固めつつ、2期目現職としての実績をもとにさらなる掘り起こしも見据える。
 戸田氏は5月の会見で、基本政策「創造的復興の実現」に基づき、官民協働によるまちづくりの推進や次世代の育成支援、ILCの誘致実現などに取り組む考えを強調。「計画期間中に復興を成し遂げるには、今後が一番難しい時期になる。首長としてのこれまでの経験や実績、リーダーシップが必要なことなどを訴えていきたい」と語る。
 政党の動きをみると、国民民主県連が戸田氏の推薦を決定。自民の大船渡支部は協議を続けており、公明、共産は現時点で態度を明確にしていない。
 告示まで3カ月を迎え、両氏後援会の組織基盤も固まり、前哨戦はより活発化するものとみられる。ともに知名度がある2人の一騎打ちが見込まれ、注目度は高まりつつある。一方で、長期戦の様相をみせる中、市内における選挙戦のムードはまだ勢いづいてはおらず、「様子見」の感もうかがえる。
 震災から7年8カ月を経過する中で迎える今回の市長選。これまでの復旧・復興の動きに加え、進行する人口減少等への対応といった復興後におけるまちづくりのビジョンをいかに明確に示せるかなどが、有権者にとって判断のポイントとなりそうだ。
 また、選挙権年齢が18歳に引き下げられて初の実施となり、若年層をはじめ無党派、浮動層へいかに支持拡大を図っていくかも注目される。
 6月1日現在の有権者数は、3万2068人(男1万5270人、女1万6798人)。前回選投票時(20歳以上)と比べて350人少ない。