年内完成へ本格着工、一般利用あすから中止/五葉山・石楠花荘改築事業

▲ 改築事業に伴い、20日から一般利用が中止となる石楠花荘=五葉山、7月撮影

 大船渡市、住田町、釜石市にまたがる霊峰・五葉山(1351㍍)の9合目にある避難小屋の石楠花(しゃくなげ)荘は、改築事業に伴い20日(月)から、一般登山者の利用ができなくなる。現施設の基礎を生かして新しい小屋を整備するもので、新施設は年内完成を目指す。小屋を管理する五葉山自然保護協議会(会長・野田武則釜石市長)では、天気情報に留意するなど登山者に安全確保の徹底を呼びかけている。


 同協議会によると、一般利用が中止となる20日以降、作業機械の整理やヘリコプターによる資材空輸を経て、現施設の木造部分の解体が本格化。改築事業の工期は12月21日(金)までだが、積雪時期に入る前には建設工事を完了させる流れで進める。
 小屋付近にあるトイレや水くみ場、登山ルートはこれまで通り利用可能。一方、屋外に設置されていたテーブルやいすは、資材を置くスペースとなることから使えなくなる見込み。立入禁止とするエリアにはロープを張るなどして周知し、安全を確保する。
 9月以降にも、ヘリコプターでの資材搬送を計画。登山道や国道、高圧線などを極力横断しないルートを飛行するという。
 同協議会では「悪天候が予想される時は登山を控えるなど、安全確保への協力をお願いしたい」としている。
 現在の石楠花荘は、昭和63年に整備。厳しい風雨などにさらされて柱材などの老朽化が進み、近年は地震や強風による「横の力」がかかると、引き抜きなどが起きる可能性も指摘されていた。
 3市町で構成する同協議会は、今年4月の通常総会で石楠花荘の改築を決定。予算額は約7220万円で、事業費負担は「大船渡市:釜石市:住田町=5:5:2」としている。
 事業費には一般財源に加え、これまでに五葉山石楠花荘改修促進協議会が募金活動で集めた寄付金約300万円が生かされる。
 また、大船渡市と住田町は新たな試みとして、インターネット上のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」内でのガバメントクラウドファンディング(GCF)でも広く寄付を呼びかけた。
 入札の結果、改築工事は㈱リンデンバウム遠野(遠野市)と6102万円で契約。監理業務は㈲アルファーシステム(釜石市)が133万円で受託した。
 改築工事では、現施設の基礎となっているコンクリートブロックはそのまま生かし、上部に木造平屋の新しい小屋を建設。延べ床面積は53平方㍍で、これまでとほぼ同じとなる。
 現施設は、外壁の外側に避難小屋へとつながる階段が設置されているが、新施設は外壁の中に設ける構造。雨風の影響を防ぐといった目的がある。内部は一部で小上がりから天井まで立った状態でも移動できるようにするなど、利便性を高めるという。