原点回帰で成功期す、太鼓フェス 節目の30回に/陸前高田(別写真あり)

▲ 一枚ずつ入場手形を制作するスタッフら=陸前高田市

「入場手形」は来月発売
今年は10月21日開催

 まちおこしを主な目的とし、平成元年に市民の手で始められた陸前高田市の「全国太鼓フェスティバル」は10月21日(日)、高田町の市総合交流センター・夢アリーナたかたで開催される。今年は30回目の節目を迎えるばかりでなく、今春オープンした同アリーナを初めて会場とする。ここ数年会場としていた現在の高田第一中体育館を上回る施設規模で、実行委員会(熊谷政之会長)は来場者の大幅な増加を見込むとともに、同フェスティバルが始まった当初の〝まちぐるみでつくる一大イベント〟という原点に回帰し成功を期す。


実行委員も募集


 10月の恒例行事として定着している太鼓フェスは、「陸前高田でも全国規模のことができると示そう」という市民有志らと市との官民協働により始められたイベント。〝太鼓の甲子園〟とも呼ばれる通り、人気も実力もある全国各地の太鼓集団や民俗芸能団体などが出演し、最盛期にはおよそ3000人の観客が詰めかけた。
 東日本大震災が発生した平成23年は名古屋市の協力を受け、同市でのイベント開催によって伝統をつなぎ、24年からは現在の高田第一中体育館を会場に地元開催を再開。今年4月、夢アリーナたかたがオープンしたことから、震災前と同じ〝市民体育館〟を会場としたイベント実施が節目の年に実現することになった。
 今回出演するのは、地元の大船渡東高校太鼓部、気仙町けんか七夕太鼓保存会をはじめ、福島の愛宕陣太鼓連響風組、愛知県の尾張新次郎太鼓、静岡県の天城連峰太鼓、長野県の大太坊など県内外合わせて9グループ。創作太鼓と伝統太鼓が半々のバランスで、ジュニア団体の出演もあり、バラエティーに富んだ陣容となった。
 このうち、石川県の御陣乗太鼓は、太鼓フェスを初開催する際、実行委メンバーが「なんとしても出演してほしい」と必死に口説き落とした団体。平成最後の開催で、30回という節目となる今回、再出演がかなったことも、今イベントの目玉の一つだ。
 入場券は初回から、気仙スギを使った「入場手形」としている。
 今年の発売開始は9月2日(日)と決まり、今月22日夜から市役所でこの手形制作がスタートした。今回は、太鼓フェスのキャラクター「Don太」と、「たかたのゆめちゃん」が2人で太鼓を打ち鳴らしているイラストをハンコにして押している。
 手形を一枚ずつやすりで磨き、穴を開け、焼き印とハンコを押してヒモを通す。そのすべてが実行委員らによる手作業。ヒモは30回記念と新しい会場での開催を祝して紅白の色を選んだ。
 実行委企画宣伝部長の西條まい子さん(43)は「昨年は業者にお願いし、シルクスクリーンで刷っていたが、今回は初心に帰り、太鼓フェスらしい〝手作り感〟を大事にしたいと思った」と語る。
 手形の制作枚数は1200枚、販売目標は1000枚とする。高田第一中体育館の観客キャパシティーは500人で、これまでの2倍の来場者を見込むことになる。その分、誘客にも工夫が必要となるうえ、当日の会場運営の仕方も震災後のここ数年とは一線を画すものになることが予測される。
 一方、スタッフはまだまだ足りていない。ステージ設営などを担う舞台部部長の佐藤勝さん(38)は、「初めての会場でこれまでとは勝手が違う」といい、限られた人数でどこまでできるかという不安も抱える。出演団体との連絡調整、プログラムなどの作成、グッズ販売、広報、ステージ進行、演出内容の検討、入場整理といった仕事が山積みの中、人手不足は現在の深刻な課題だ。
 佐藤さんは「今回は、規模を小さくしてやらざるをえなかった7年分の思いを全部詰め込んだものにしたい。先輩たちが苦労し、せっかく30年も続けてきたイベント。原点に立ち返る形でやっていきたい」とし、実行委への参加を広く呼びかける。
 入場手形は1枚2000円。販売場所は高田町の市役所商工観光課、市観光物産協会、アバッセたかた、気仙町の一本松茶屋、広田町の黒崎仙峡温泉の5カ所。当日券は3000円となる。
 実行委への参加に関する申し込み、問い合わせは、事務局の市商工観光課(℡54・2111内線386)まで。