ペイント施しお披露目、寄贈されたストリートピアノ/大船渡(動画、別写真あり)

▲ デザインペイントが施されたストリートピアノをお披露目=防災観光交流センター

 大船渡市大船渡町の市防災観光交流センターに寄贈され、ペイント作業を完了したストリートピアノのお披露目式は29日、同センターで開かれた。ピアノは6月に鹿児島県内の団体から贈られたもので、これに大船渡高校美術部の1年生4人が「海のオルゴールボックス」をイメージした絵柄を描いた。ピアノの演奏も行われ、出席者らは生まれ変わったピアノの音色が新たなまちに響き渡り、元気や交流、にぎわいを運んでくれるよう祈念した。

 

響け「海のオルゴール」、まちのにぎわいを祈念

 

 このピアノは、鹿児島県の「鹿児島まち自慢快発考舎『ストリートピアノJAPAN』」(大坪元気会長)から6月に寄贈されたもの。
 ストリートピアノJAPANは平成22年から、自宅に眠るアップライトピアノを譲り受けてデザインペイントを施し、商店街や集客施設へ常設して街行く人に自由に弾いてもらう活動を展開。24年からは、被災地の復興支援プロジェクトとして取り組んでいる。
 毎年3月11日には、全国各地でセレモニー「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」を開催。被災地に黙とうと歌を届けるとともに、参加者らへ募金の協力を呼びかけ、被災地にピアノを贈っている。
 大船渡市への寄贈は、25年の宮城県南三陸町、28年の同県名取市に続く3カ所目。鹿児島県鹿屋市から派遣された大船渡市の応援職員が縁を結び、実現した。
 贈られたピアノはその後、センターの指定管理者である市観光物産協会(齊藤俊明会長)が大船渡高美術部にデザインペイントを依頼。センター2階に展示する絵「明日へ」を作画した古川このみさん(16)が、同部に所属していることが縁となった。
 ペイントは古川さん、松田遥花さん(16)、寺谷湖子さん(16)、鈴木唯依さん(15)が担当。デザインは松田さんが手がけ、「海のオルゴールボックス」をコンセプトにしたピアノに仕上げた。
 1カ月余りをかけ、白のペンキでピアノを下塗りし、その上から砂浜や海の中で魚たちが水上へ向かって泳ぐ様子、泡の中に入ったツバキの花などを描いた。鍵盤を覆うふたには貝殻やリボンをあしらい、オルゴールのふたをイメージ。数カ所には〝隠れハート〟も描き、遊び心も込めた。
 お披露目式には、関係者や市民ら約40人が出席。髙泰久副市長が「これを機ににぎわいが進むよう祈念する」とあいさつ。大坪代表(33)は「いろんな人の協力でここまで来られたと感謝している。このピアノが復興のきっかけになれば」と喜びの思いを述べた。
 経過説明に続き、生徒たちに齊藤会長が感謝状を贈呈。続いて、来月30日(日)に同センターでコンサートを予定するアンサンブル・ふぁさふぁすのピアニスト・竹内陽子さん(66)=東京都=が『ジュ トゥ ヴ』を演奏し、美しい音色を披露した。
 松田さんは「ピアノを弾く人がいて音が出る様子がオルゴールボックスみたいだと思い、デザインした。全国で震災のことを覚えていて、こうして支援してくださるのはうれしい。幅広い人に弾いてもらい、まちが盛り上がってほしい」と笑顔。
 大坪代表は「世界に一台しかないピアノに仕上がった。このピアノが大船渡の活性化につながればありがたい」と話し、ピアノから生まれた交流が末長く続くよう期待していた。