外国人観光客 どう増やす? 観光関係者ら勉強会/大船渡
平成30年8月31日付 1面

大船渡市による「ラグビーワールドカップ2019観光客動向および訪日外国人観光客受入勉強会」は29日、大船渡町の防災観光交流センターで開かれた。市内の観光に携わる関係者らが参加し、外国人観光客の増加を目指した受け入れ体制強化に向けて研修。来年、釜石市で開催されるラグビーワールドカップにおける観光客の動向などに理解を深め、外国人観光客の増加につなげるために何をすべきかを検討するとともに、関係機関の連携をさらに強化していくことの必要性を確認した。
連携強化の必要性も確認
政府は平成28年3月、観光戦略「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定。近年の訪日外国人旅行者数実績をみると、27年は1974万人、29年は2869万人となり、今年は8月15日現在で2000万人を突破している。政府は観光を地方創生の切り札、成長戦略の柱として推進しており、32年には4000万人、その10年後には6000万人の訪日外国人客を目標としている。
一方、県内における29年の外国人観光客入り込み数は26万392人と前年より増加傾向にあるものの、全国の1%にも満たない。さらに大船渡市に関しては449人と県内の0・2%にとどまっており、県内陸部と比べると、かなり少ないのが現状だ。
こうした状況や、来年の三陸防災復興プロジェクト、ラグビーワールドカップ、2年後の東京オリンピック・パラリンピックなどの開催を踏まえ、市は外国人観光客の誘致に一層力を入れることとし、各種施策を展開。今回の勉強会は、ラグビーワールドカップの開催をきっかけとした市内の観光関連施設等における外国人観光客受け入れ体制整備に向けた機運醸成を図ろうと企画し、市観光物産協会が協力した。
この日は、市内の飲食店や宿泊施設などからの参加者と、主催者側の関係者25人が出席。鈴木弘観光推進室長のあいさつに続き、同室の金野道程主幹が「国内・大船渡市の訪日外国人観光客受入状況と市の取り組みについて」と題し、市内における外国人観光客の現状や課題、今後の取り組み案を紹介した。
㈱JTB営業課観光開発プロデューサーの杉田洋平氏は、ラグビーワールドカップ2019開催にかかる観光客動向予測について説明しながら、大会の概要や、観戦者をどう大船渡へ誘致するかなどを解説した。
このうち、大船渡への誘致、滞在を図るためには、「立ち寄ってもらうための魅力ある観光コンテンツ・プログラム等の整備・造成」などを提案。「『立ち寄ってみたい』といかに思わせられるかが大事」と述べた。
また、釜石市内における宿泊施設の最大受け入れ可能数は約1300人と、大会関係者の利用でほぼ埋まってしまうと指摘。同市に隣接する大船渡市の優位性に着目し、「釜石に宿泊できない観客が、次の候補として宿泊地に選ぶ可能性は高い。ここに対してアピールすることが重要」と強調した。
今月上旬、市初の国際交流員として着任したリー・オリビア・ジェーンさんも登壇。自身が気付いた大船渡の魅力、外国人観光客への対応策などを示した。
この中では、インターネットで大船渡を調べると東日本大震災の話題が多く、観光面での魅力発信が少ないことから、「ネットでのPR、情報発信が大切」と指摘。大船渡の観光パンフレットは明るくて見やすいとして、「ネットで調べたときにもパンフレットのような明るいイメージが出れば」と述べた。観光案内看板やメニュー表、時刻表などの外国語表記の充実にも言及した。
参加者らは質問も交え、外国人観光客の増加に向けてそれぞれができる取り組みは何かを模索。関係機関による連携強化の必要性も感じ取っていた。
市は今後も勉強会を企画し、外国人観光客の受け入れ体制充実に向けた機運醸成を図っていきたいとしている。