情報技術から未来考える、立教大がICT教育支援実習/陸前高田(別写真あり)

▲ 陸前高田の課題解決のため、感情や音声を認識できるロボットをどのように使うかなどについて参加者が考えた=米崎町

 立教大学社会学部(松本康学部長、東京都豊島区)は30、31の両日、陸前高田市米崎町の陸前高田グローバルキャンパスで、同市の中高生らを対象としたICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)教育支援実習の学習会を開いた。参加した中高生らは、技術感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper(ペッパー)」が持つ機能を最大限に生かすことで、陸前高田の地域課題解決を図るというテーマを考えるとともに、情報技術を用いればどこで暮らしていても地域の役に立つ仕事を創出できることなどを学んだ。

 

中高生ら対象に学習会

 

 同学部は来年度、陸前高田市の高校生を対象とした「教育支援実習」を正課に組み込むことが決まっており、今回の学習会はそのパイロット版として企画。ウェブシステム事業の開発などを手がける㈱ウェブインパクト(高柳寛樹社長、東京都)と、同市の(一社)SAVE TAKATA(佐々木信秋代表理事)が協力した。
 学習会は、同社が培った「ICT教育プログラム」を活用するもの。高校生に最新のICT学習の場を提供することによって、生徒自身が将来を見据え、働く場所・住む場所にとらわれないキャリア形成につなげることなどを狙いとする。
 今回の学習テーマは「陸前高田の未来を良くするアイデアづくり」。感情や音声を認識し、動く、話す、映像等を表示するといった機能を持つロボット「ペッパー」をどのように使えばまちをよりよくできるかについて考え、そのアイデアの実現計画設計を行うまでを課題とした。
 初日の30日は、学生が事前にペッパーを利用して行ったプログラムを紹介。大学内に複数ある学食を選ぶ際にペッパーに話しかけると、食べたいもののイメージや食事に要する時間などの希望別に、ペッパーが食堂やメニューを選んでくれるというもので、中高生を含む参加者12人はまず、このロボットにどのようなことができるのかを念頭に置いた。
 そのうえで、学生と生徒らが小グループに分かれ、「陸前高田で使う場合、何を解決したいか、誰が使うのか、どこに設置するのか」について検討した。
 中学生からは「高齢者が多いので、お年寄りのために使えないか」という声が上がり、病院やスーパー、市役所などの公共施設ではどんな困りごとが想定されるか考えたり、方言への対応について検討するなどした。
 学生からは「外から来て陸前高田駅に降りても、そこからどこへ行けばいいか、何があるのかわかりにくい」といった指摘も。駅やバス停などに設置して市内のルートを案内したり、物産施設等に置くことで観光案内や歴史、震災の〝語り部〟としての活用ができないかといったアイデアも掘り下げていった。
 同学部の田北康成兼任講師は「ICTを活用すれば、どこにいても仕事を生み出せる、なりたいものになれるんだということを生徒たちに知ってもらい、陸前高田の未来をよくしていってほしい。来年からは正規の授業としてこちらへ来ることになるので、地元の高校生らがICTに触れる機会を増やしていければ」と話していた。