「次の手段」なお時間、住田の木工2事業体債権回収問題

▲ 一般質問に先立ち、調停を巡る経緯について説明=住田町議会

 住田町議会9月定例会は4日に開会し、会期を18日(火)までの15日間と決めたあと、荻原勝、瀧本正德、林﨑幸正、佐々木初雄(いずれも無所属)の4議員による一般質問が行われた。質問に先立ち、神田謙一町長は三陸木材高次加工協同組合と協同組合さんりくランバーの融資残額や町有林原木未納額計10億円超の支払いを求め、両事業体や連帯保証人を相手に申し立てていた調停が不成立となった経緯を報告。一般質問でもこの問題で論戦が交わされ、事業存続と債権回収に向けた「次の手段」に関し、当局は一定期間をかけて固めていく方針を示した。

 

説明機会など巡り論戦、一般質問に4人が登壇/町議会9月定例会開会

 

 本会議冒頭、行政報告に立った神田町長は「調停の話し合いが終了した」と述べ、今年1月以降、2事業体と連帯保証人・相続人13人との間で6回にわたり調停を行ってきた流れを説明した。
 両事業体と連帯保証人による支払額の提示に対し、当局側は「到底納得できる金額、内容ではなかった」とし、議会や町民の理解が得られる額として、財産開示を求めてきたことも明かした。
 裁判官から折り合うよう提案もあったが、連帯保証人側は「受け入れられない」との回答だったため、和解・合意には至らなかったと振り返った。支払提示額の詳細などは、示されなかった。
 最後に「調停手続きは両事業体の存続のために行ったものであり、けせんプレカット事業協同組合の協力を得ながら、再建を図ったもの。今後については町ができること、事業体ができることを整理し、町顧問弁護士らと相談しながら進める」と述べた。
 一般質問では林﨑議員がこの問題を取り上げ、早期の住民説明を求めたのに対し、横澤孝副町長は「まだ町民に対して次の具体的な行動を示せる段階には至っていない。行動が固まった段階で、説明会に臨みたい」と答弁した。
 林﨑議員は「調停に入る前にも保証人らと協議をしていて不成立の結果に至るのは、町民を愚弄しているのでは」とも追及。横澤副町長は「非常に残念であり、個人的には裏切られたという思いもある。次のステップに向けては、あまり時間をかけたくないが、かなり慎重に進めなければならない」と述べた。
 トップ登壇の荻原議員は熱中症対策を質問し「全教室にエアコンを設置すべき」と迫った。伊藤豊彦教育次長は「小中学校のパソコン教室にはエアコンがあり、稼働させて具合が悪い生徒がいれば休ませるようにしてきた。全教室に向けては検討が必要。まずは保健室からできないか考えていきたい」と述べた。
 産業振興策を取り上げたのは、瀧本議員。次世代エネルギーとして注目される水素活用を進める町内企業の動きにふれながら「町としても先駆けた対応を図るべき」と提言した。
 横澤則子企画財政課長は「町も傍観しているわけではなく、民間企業の動きをみながら支援を講じていきたい」などと答弁。今後見直しを進める総合戦略への反映などについて検討していく姿勢も示した。
 防災対策について取り上げた佐々木議員は、急傾斜地や土砂災害の危険箇所など、避難行動時に迷うところが多いと指摘。「防災意識の高揚や防災知識の普及をどう進めるか」と迫った。
 神田町長は西日本豪雨被害などから浮かび上がる教訓について「早めに避難する習慣づけが重要」と言及。「例えば避難経路や危険箇所、情報伝達経路の確認、意見交換を行うなど、地域の実情に合った避難手順を確立させる作業を住民協働で行うことによって、地域の防災・安全が図られると考える」と語った。
 今定例会には、本年度各会計補正予算や通学用スクールバス取得の議案に加え、平成29年度各会計決算の認定案件などが上程されている。日程次の通り。
 ▽5日=本会議(一般質問)、決算審査特別委、常任委▽6~10日=休会▽11日~13日=決算審査特別委▽14~17日=休会▽18日=本会議(議案審議、決算審査特別委報告など)