今季サンマ漁 1日現在で562㌧、スタート好調も予断許さず/大船渡

▲ 1日現在では昨年を上回っているサンマ(写真は初水揚げの様子)=大船渡市魚市場

 大船渡市大船渡町の市魚市場にサンマが初水揚げされてから10日余りが経過した。初水揚げ以降、今月1日までは順調に水揚げが続き好調なスタートとなっていたが、ここへ来て不安定な天候・漁模様となっており、予断を許さない状況だ。サンマは平成27年~29年まで3年連続で不漁に見舞われていることから今季は大漁への期待も大きく、今後の漁況や価格動向に注目が集まる。

 1日現在の同市場へのサンマ水揚げ量は562・76㌧で前年同期比133・4%。1㌔当たり平均単価(税込み)は303円で、昨年同期の433円を下回っていることから、累計金額(同)は1億7081万円で同99・3%。
 大船渡への初水揚げは先月25日で、大型サンマ船2隻が合わせて26㌧を水揚げした。以降も水揚げは順調だったが、今週に入ってからは天候も不安定になっており、水揚げが途切れている。
 内陸部のスーパーなどにもサンマを卸している大船渡町の㈱産直上野水産の上野孝行代表取締役社長(50)は「今年のサンマは型も大きく、脂ののりもいい。多くの人に味わってもらえるよう、安定した量がとれてくれれば」と話す。
 大船渡市の鮮魚小売業者らでつくる大船渡水産物商業協同組合(新沼哲理事長)は8月6日から、大船渡港に水揚げされた新鮮なサンマを全国に届ける「大船渡港さんま直送便」の受け付けを開始。今年は初水揚げ以降のまとまった水揚げもあり、昨年より2週間ほど早い同月29日から発送を開始した。9月1日現在ですでに約7000件の予約があり、同現在での発送数は1600件弱。先週までは順調なペースだったといい「今年こそ豊漁となり、型のいいサンマを全国の皆さんにお届けできれば」と今後に期待を込める。
 29年の全国のサンマ水揚げ数量は7万7169㌧で前年比30%減と、記録的不漁だった昭和44年の約5万2000㌧以来、半世紀ぶりの低水準、平成に入ってからは最低の数量となった。大船渡への水揚げ数量は同19・9%減の1万1087㌧と不振を極めた28年をさらに下回った。
 水産庁がこのほど発表したサンマ長期漁海況予報によると、6~7月に行った漁期前分布量調査では、日本近海から東経155度までの分布量は少ないものの、さらに沖合には昨年を上回る魚群が分布していたという。これにより、9月中旬以降は来遊量が増加し、漁期全体として昨年を上回る来遊量となる見通し。