災害公営住宅 一般入居可能に、市管理分の40戸程度で今月下旬から募集予定/大船渡
平成30年9月7日付 1面

大船渡市は6日、市が管理する災害公営住宅の空き住戸について、被災者以外の一般による入居も可能とし、今月下旬から募集を開始すると発表した。本年度始まった応急仮設住宅の特定延長により、仮設住宅入居者が災害公営住宅への入居を希望する可能性が低くなったとして決定したもの。市営災害公営住宅のうち、空き住戸となっている40戸程度の入居者を募る見通しで、入居開始は11月初旬となる見込み。一般入居が認められることで、被災者以外の住宅困窮者に対する住宅供給が進むなどの効果が期待される。
東日本大震災の発生後、市内には市営22団地539戸、県営3団地262戸、合計25団地801戸の災害公営住宅が整備された。災害公営住宅への入居は、震災で住居を被災した住宅困窮世帯に限定されていた。
市によると、市営分における8月末現在の入居戸数は487戸で、入居率は90・4%。空き住戸は14団地に計52戸あるという。
災害公営住宅への入居募集は、平成28年度まで受付期間を設けて定期的に行っていたが、被災者の住宅再建が進んでいくのに伴い、29年4月には随時に変更。また、応急仮設住宅への入居は今年4月、防災集団移転促進事業や土地区画整理事業などで移転先が決まっている世帯のみが可能な「特定延長」に移行。仮設住宅入居者のうち、市内の災害公営住宅へ入居を希望する可能性はきわめて低く、現時点でゼロの状態となっている。
一方、既存の市営住宅を対象とした入居募集では、29年度が4・5倍、本年度は4・4倍と応募倍率が高い状況が続く。市には、入居に関する問い合わせも多く寄せられているという。
こうした状況を受け、市は災害公営住宅への被災者以外の入居について、国や県などとも協議を重ねながら検討。一般の入居も認め、今月20日(木)から入居者を募ることとした。
同日発行の広報おおふなと紙上で募集団地などを公表。2週間程度の応募期間を経て資格審査、抽選などで入居者を決め、入居開始は11月初旬を予定する。
募集方法は市営住宅条例に従い、既存の市営住宅と同様。政令月収額(1年の所得額から各種控除額を引き、それを12カ月で割ったもの)が15万8000円以下で、住宅に困窮する世帯を対象とする。一般入居の場合は、「東日本大震災にかかる大船渡市営住宅家賃等減免規則」で定める減免対象からは除外される。
募集戸数は、基本的に全団地の空き住戸が対象。ただし、被災者の突発的な入居希望などに対応するため、各地域で若干数の空き住戸を一定期間確保しなければならないことから、初回は約40戸の入居を募る見込み。
一部住戸は、障害者や母子家庭、老年者世帯などが優先的に入居できる「優先入居住戸」として募集する予定という。
被災者以外の一般入居を開始することで、住宅に困窮する低所得者への住宅供給が充実。家賃収入等の増加も見込まれており、市では公営住宅経営の安定化も図られるとしている。