道路構成は3案に絞る、昭和橋景観検討委が初会合/住田

▲ 架替計画立案に向けた提言をまとめる昭和橋景観検討委員会の初会合=住田町役場

 県大船渡土木センター住田整備事務所と住田町が立ち上げた昭和橋景観検討委員会の初会合は6日、町役場で開かれた。防災充実にとどまらず、周囲の景観などに配慮した架替計画立案に向けた提言をまとめるもので、この日は架橋位置と幅員について審議。架橋位置は現行通りとし、道路の構成などを定める幅員は現行幅による歩道専用化、1車線のみ、歩道付き1車線の3案にしぼり、次回の会合で協議を重ねることになった。同事務所は、来年9月に詳細設計をまとめ、その後4年程度で新橋完成を目指す方針も示した。

 

現行位置で架け替えへ

 

現在の昭和橋は車道がない1車線の構造=世田米

 気仙川に架かる町管理の昭和橋は昭和8年に架橋し、世田米商店街と役場などがある川向地区を結ぶ。県による治水対策の一環で、今後架け替えが行われる。
 景観や橋上利用を含めたまちづくりなどの観点で計画案を審議する検討委員会は、学識経験者や地元関係者ら8人で構成。会議は公開され、傍聴には約20人が訪れた。
 委員会規約の確認などに続き、委員長には福岡大学工学部社会デザイン工学科の柴田久教授を選出。柴田委員長は「日常に合った適正規模、周囲の景観に配慮した検討を」と述べた。
 議事では、事務局が設計プロセスと今後の流れについて説明。委員会は来年2月までに3回程度の開催を計画し、橋の基本構造や付属施設などについて提言を受ける。
 昭和橋詳細設計の完了は、来年9月をめどとする。同事務所では、設計完了後の用地調整などに半年~1年、工事は3年程度が見込まれるとの見通しを示した。
 引き続き、デザインコンセプトについて協議。歴史的な重要性や景観、洪水対策の一つとして架け替えが必要といった背景をふまえ、「世田米の中心にて住田町の歴史と文化を象徴し、地域とともに新たな歴史をはぐくむ橋」とすることを確認した。
 幅員構成について、事務局は▽現行幅員▽1車線▽歩道付き1車線▽2車線▽歩道付き2車線──の5案を示した。現橋の通行可能な道幅は3・2㍍で歩道はなく、一般車両同士のすれ違いができない狭さとなっている。
 事務局は利便性確保や歩行者らの安全性、景観、経済性の観点で比較し、歩道付き1車線を基本案としたい考えを説明。委員からは「歩行者にヒヤリとすることがあり、歩道があった方が安心」「まず安全性、利便性を確保したうえで景観がある」など、同調する意見が複数寄せられた。
 一方、歩道があった方が車両の通行速度が上がるとの指摘や、過去に歩行者が巻き込まれた重大な事故は起きていないといった報告も。「車より人の歩行を優先する、譲り合う良さを住田らしさとして大事にすべき」とし、現行と同じ構造を望む発言もあった。
 結果、現行幅員による歩道専用化、1車線、歩道付き1車線の3案にしぼり、次回の会合でも検討を重ねる方針を確認。橋の位置に関しては、現行位置を基本とする。
 次回の会議は、12月に開かれる見込み。委員次の通り。
 泉佳奈(世田米地区交通安全母の会長)大月敏雄(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授)小山公喜(気仙川漁協組合長)菅野憲(世田米地区公民館長)佐々木忍(せたまい町歩きガイド代表)佐々木英雄(世田米小校長)柴田久(福岡大学工学部社会デザイン工学科教授)南雲勝志(ナグモデザイン事務所代表)