国境越え奇跡の共演、「いわてJAZZ」にB・ジェームスさんら/大船渡で(別写真あり)

▲ ボブさんと共演するSPOなど県内ビッグバンドの楽器愛好者ら=リアスホール

 大船渡市主催の「いわてJAZZin大船渡」は8日、盛町のリアスホールで開かれた。同市の復興を応援する米国の著名ピアニスト、ボブ・ジェームスさんらプロのプレーヤーのほか、同市のビッグバンド・サンドパイパースオーケストラ(SPO)など県内ビッグバンドの楽器奏者らがスペシャルバンドを組んで出演。東日本大震災後の出会いによって実現した、国境を越えた奇跡の共演に会場全体が盛り上がった。

 

地元のSPOもステージに

 

 いわてJAZZは、県文化振興事業団が平成21年から開催している〝ジャズの祭典〟。「世代や国境の壁を超えた『音』の共演」と銘打ち、国内外の有名アーティストを招く恒例イベントで多くの音楽ファンに親しまれている。
 開催10回目の今年は、8日の大船渡公演と9日の盛岡公演の2日間にわたる特別プログラム。大船渡公演は市教委やFMねまらいん、キャッセン大船渡、東海新報社が後援した。
 出演者は、グラミー賞受賞など音楽界で世界的に活躍するボブさんと、日本の鈴木良雄さん(ベース)、奥平真吾さん(ドラム)でつくるトリオや、オーストラリアのロバート・バークさん(サックス)が率いるカルテット。
 SPOも、県内各ビッグバンドのメンバーとともに〝スペシャルバンド〟を組んで参加した。
 ボブさんは、震災があった平成23年の「いわてJAZZ2011」に出演し、SPOと共演。そのステージのために作った曲『Put Our Hearts Together』は、翌年に歌手・松田聖子さんやSPOとともに同ホールで演奏するきっかけや、SPOメンバーがアメリカに渡る機会などさまざまな縁を生んだ。
 こうした経緯があって実現した今回の大船渡公演は、同ホール開館10周年記念公演にも位置づけて開催。松田さんと共演したときに語ったボブさんの「またこの場所に来たい」という念願が、6年越しにかなった。
 この日は、市内外のジャズファンら300人余りが来場。
 ステージは、スペシャルバンドによるオープニングアクトで幕開け。約40人もの奏者が往年のナンバーや『Put Our Hearts Together』など5曲を演奏し、幅広い世代が奏でるエネルギッシュなプレーで聴衆の耳を楽しませた。
 その後、ロバート・バーク・カルテットが出演し、オーストラリア人ならではの異国の雰囲気で来場者を魅了。次いで、今イベントに合わせコンボを組んだボブ・ジェームス・トリオが登場し、即興で奏でるジャズの楽しさを届けた。
 同トリオのアンコールでは、ボブさんが、この日のために書き下ろした新曲『THE OFUNATO THEME』をスペシャルバンドとともに初演した。
 この曲は、ジャズロックに『大漁唄い込み』のような和風のテイストを織り交ぜたジャンル。プレーヤーたちの個性がぶつかるソロ回しや、日本人にもなじみある美しいハーモニー、奏者に寄り添うように優しく華やかな調べを奏でるボブさんの姿に、客席から盛大な拍手が送られた。
 SPOでコンサートマスターを務めるトランペッター・吉田光也さん(62)は「ボブさんは、大船渡に関係する曲を過去4回も作ってくれている。そんなボブさんの思いに応えたいという気持ちで吹いた。一緒に演奏できて光栄。盛岡公演でも思いを届けられるようがんばって吹く」と語っていた。
 2日目の公演は、9日午後4時から盛岡市の県民会館で開かれ、SPOも出演する。チケットは当日券でS席8000円、A席5500円、B席4000円で、小中高生は半額となる。
 問い合わせは県民会館(℡019・624・1173)まで。