検討中と未定が計半数超、木造仮設入居者の再建意向/住田町

▲ 入居開始から8度目の秋を迎えた中上団地=下有住

 住田町は、町内の木造仮設住宅入居世帯に対して今年5~6月に実施した住宅再建調査の結果をまとめた。当時入居していた20世帯が回答し、このうち再建方法を検討中、未定と答えた世帯が合わせて半数を超えた。経済事情やどこに住むか判断できないなど、再建先が決まらない事情は各世帯によって異なり、全世帯の〝仮設卒業〟に向けて改めてきめ細やかな支援や情報提供の重要性が浮き彫りとなった。

 

2団地で計19世帯利用

 

 町は震災直後に、木造仮設住宅の整備を独自に決断。世田米は火石と本町、下有住は中上にそれぞれ整備し、計93戸を構えた。
 8月時点で本町は6世帯19人、中上には13世帯27人が入居。このうち、荷物のみ保管している世帯が4世帯あるという。大半の世帯が、震災前は陸前高田市内に住宅があった。
 町は今年4月、入居住民に木造仮設住宅の利用期限を再来年3月末までとする方針を初めて提示。5月以降、当時入居していた20世帯に対し、住宅再建に関する意向調査を実施した。
 再建について「新しい住まいは決まっていて、転居に向けて準備中」は9世帯。「検討しているが、決定はしていない」(検討中)は5世帯、「未定」は6世帯だった。
 検討中の世帯に理由を聞いたところ「経済的に厳しい」「自分たちに合った再建方法が分からない」「土地の造成が遅れている」などが寄せられた。未定では「適当な土地や物件が見つからない」「どこに住むのが良いか判断できない」との理由に加え、経済的な厳しさを挙げる世帯が目立った。
 ただ、調査で未定と答えた世帯が先月退去するなど、仮設卒業への動きは少しずつではあるが前進している。再建先決定者の退去時期に関しては、未定の1世帯をのぞき、来年9月までの退去を予定していることも明らかなった。
 再建方法決定者も含め、町に望む支援で多かったのは、災害公営住宅の入居支援や新築に関する情報提供。民間賃貸住宅や、町内の町営住宅に関する情報を求める入居世帯も複数あった。
 町は今後も、相談会などを開催する中で、入居世帯の住宅再建に向けた進ちょくを確認し、各世帯に合った情報提供や再建支援を講じる方針。退去後も町内在住を希望する世帯に対しても、町営住宅や空き家などを紹介する。
 また、土地区画整理事業の工期などの関係で退去できないといった特定延長対象者と同程度の状況がある場合は、期限後も入居を可能とする方針。ただ、その場合でも中上団地の供与は終了し、本町団地に集約するとしている。